桜の国チェリンと七聖剣【百二十二】
「リリム、フェリス……大丈夫!?」
その場でうずくまった二人のもとへ、会長はすぐさま駆け寄った。
「あ、ぐっ……がぁああああ!?」
「はぁはぁ……。し、死ぬほど……痛いんですけど……ッ」
リリム先輩とフェリス先輩は、毒玉の被弾した箇所を押さえながら悶え苦しむ。
その額には玉のような大粒の汗が浮かび、顔は真っ青に染まっていた。
「――嗚呼、こいつはい~ぃ声でさぁ。いつまでも聞いていられそうだぁ……」
砂煙の中から姿を見せた無傷のディールは、うっとりした表情でふざけたことを口にした。
(こいつ……ッ)
すぐにでも斬り掛かりたいところだが、今はそれどころじゃない。
「アレンくん、お願い……二人を治してあげて!」
「はい!」
会長に呼ばれた俺は、すぐさまリリム先輩とフェリス先輩のもとへ駆け寄り――その状態を確認していく。
(こ、これはひどい……っ)
毒玉によって制服は溶かされ、その下にある柔肌には紫色の紋様が浮かび上がっていた。
「あ、アレンくん……助けてくれ……っ」
「お、お願いだからこの痛み……取ってほしいんですけど……」
二人は目元に涙を浮かべ、すがりつくようにして頼み込んできた。




