桜の国チェリンと七聖剣【百二十一】
毒々しい紫色をした、ビー玉サイズの玉。
ディールの能力によって生み出された毒の攻撃は、一斉に俺たちへ牙を剥く。
(くそ、会長たちの合わせ技を受けて即反撃か……っ)
俺のもとへ迫る毒玉、総数は『十』。
数だけならば、どうということはないが……厄介なのはその速度だ。
(なんて速さだ……!?)
それはまるで、一流の剣士が放つ鋭い突き。
(不意を突かれたこの状況じゃ、まともに捌くのは難しいか……ッ)
素早くそう判断を下した俺は、すぐさま闇の衣を展開し――その全てをしっかりと防御した。
「――白龍の鱗ッ!」
「――緋桜の集いッ!」
「――水精の鏡ッ!」
リアは白炎の盾・ローズは分厚い桜の花弁・会長は大きな水鏡をそれぞれ前方に展開し、ディールの反撃を冷静に防いでいく。
その一方、
「さ、さすがに多過ぎだろ……!?」
「ちょ、ちょっと防ぎ切れないんですけど……ッ!?」
広範囲の防御手段を持たないリリム先輩とフェリス先輩は、
「痛っ……!?」
「く……っ」
毒玉の拡散を捌き切れず、それぞれ左肩と右足に被弾してしまった。




