桜の国チェリンと七聖剣【八十】
「二千年以上生きる」――そう豪語したバッカスさんに対し、ローズは大きなため息をつく。
二千年といえば……桜華一刀流の開祖が生きたとされる年数だ。
(長寿勝負、というやつだろうか?)
どうやら一秒でもいいから、ロックスさんより長生きしたいらしい。
(ローズもバッカスさんもロックスさんも、バレンシア一族はみんな本当に負けず嫌いだなぁ……)
そうして俺が苦笑いを浮かべていると、
「――さて、それでは集合時間を決めておこうかのぅ」
バッカスさんはゴホンと咳払いをして、明日の予定について語り始めた。
「場所はいつも通り、この無人島を使うとして……時間は……。うぅむ、そうじゃな……十四時頃にしておこうかのぅ」
彼は太陽の位置をジィッと見つめながら、いつもより遅い時間を指定した。
「鏡桜斬の修業は、これまでよりもいっそう厳しいものとなる。今晩は滋養のつくものを食し、温かい湯で体をほぐし、ぐっすりと眠り――とかく、体を休めるように努めるんじゃぞ?」
「「「「「はい、ありがとうございます」」」」」
その後、バッカスさんと別れた俺たちは、飛空機に乗ってアークストリア家の屋敷へ戻ったのだった。




