桜の国チェリンと七聖剣【六十一】
なんとかローズの説得に成功した直後、
「――アレン、ちょっといいかしら?」
リアは一言そう断りを入れてから、俺の目をジッと見つめた。
透き通るような紺碧の瞳。それはとても美しく、言葉で表現できない『魅力』が内包されている。
「あ、あぁ、どうしたんだ」
「うん、最後にもう一度だけ確認したいんだけど……。さっきの話は全てほんとのことなのね?」
彼女はそう言って、コテンと小首を傾げた。
「もちろんだ。俺は剣士として――いや、一人の男としてのぞきなんて絶対にしない!」
強くはっきりとそう宣言し、リアの瞳を真っ直ぐに見つめる。
それから少しの間、俺たちは互いに見つめ合うと、
「……そっか、わかった。私もアレンの言うことを信じるわ」
彼女は優しい笑みを浮かべ、ホッと安堵の息をついた。
「ほ、本当か!?」
「えぇ、もちろん。これはここだけの話なんだけど、私には――『ヴェステリア王家』の一族には『とある力』があるのよ」
リアは俺にだけ聞こえるよう、とても小さな声で耳打ちをしてきた。
「とある力……?」
「そう。それは――『嘘を見抜く力』。意識を集中させて相手の目をジッと見つめれば、その人が嘘をついているかどうかが感覚的にわかるの」
彼女はそう言って、とんでもない秘密を告げたのだった。




