表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

265/445

桜の国チェリンと七聖剣【三十六】


 バッカスさんの斬撃が速過ぎて、このままでは修業にならない。

 この問題を解決するため、修業方法にちょっとした工夫が施された。


 まずはこれまで通り、彼がお手本の斬撃を放つ。


「桜華一刀流――桜閃(おうせん)


 まるで閃光のような突きが、一直線上に駆け抜けた。


 そしてその直後、


「桜華一刀流――桜閃ッ!」


 ローズも全く同じ技を放つ。


『超高速』の斬撃と『高速』の斬撃。

 速度の違う二種類のお手本を見ることにより、俺たちは全員桜華一刀流の術理(じゅつり)を学ぶことが可能となった。


 そして実演が終われば、修業効率を上げるために技の『コツ』が説明される。


「この桜閃という技のコツは……そうだのぅ……。なんというかこうグッと重心を落とし、ズバッと刺す感じじゃ!」


 バッカスさんの教え方は、控え目に言って地獄だった。


(身振り手振りを使って、真剣に教えてくれているのはよく伝わるんだけど……)


 口から出てくるのは、「グッ」や「ズバッ」といった擬音語(ぎおんご)ばかり。

 残念ながら、これではほとんど参考にならない。


 そうしてバッカスさんの説明が終われば、今度はローズの番だ。


「桜閃を放つ際には、三つのポイントがある。それは突きの角度、重心移動のタイミング・軸足の位置だ。まず『突きの角度』だが、実はこの技は真っ直ぐに放っているのではない。剣の先端は、ほんの僅かに斜め下を向いているんだ。こうすることによって重力を――」


 彼女の教え方は、まるで天国のようだった。


 聞き取りやすい綺麗な声、具体的で論理的な説明。

 しかも、こちらの理解度を確認しつつ進めてくれるから、置いてけぼりになることがない。


(もしかしたらローズは、先生に向いているのかもしれないな……)


 そう思うほど、とてもわかりやすい説明だった。


 それを裏付けるようにして、


「――ねぇ、ローズ。重心移動のタイミングなんだけど、こんな感じでいいの?」


「あぁ、いい調子だ。さすがはリアだな」


「ローズさん、軸足の位置はこのあたりでいいのかしら?」


「そうだな……。もう少しだけ、左に寄せた方がいい。……そう、その位置だ」


 彼女は瞬く間に人気講師となり、リアや会長は次々に疑問を投げ掛けた。

 きっと同性同士だから、聞きやすいということもあるのだろう。


 その結果、


「あ、あの……。バッカスさん、質問をしてもいいでしょうか?」


「うむ、もちろん構わんぞ」


 俺はほとんどマンツーマンの状態で、バッカスさんとの修業に臨むことになった。


「重心移動のタイミングが、ちょっと掴みづらいんですけど……。何かコツのようなものありますか?」


「そうだのぅ……。剣をグッと引いたときに後ろ。ズバッと押し出したときに前。という感じじゃな」


「……ありがとうございます」


 残念ながら、やっぱり参考にはならなさそうだ。


 とにもかくにも――こうして俺たちは、ひたすら桜華一刀流の修業に打ち込んだのだった。

なんと『一億年ボタン』のロングPVが、YouTube上で公開されました!

こちらは『ファンタジア文庫大感謝祭』の特大スクリーンにて放映されたもので、めちゃくちゃかっこいい仕上がりです!

このページの下の方に『テレビCMリンク』を作成したので、そちらをクリックすれば、すぐに見られるようになっております!


最高の出来栄えなので、ぜひ一度見てみてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ