表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~  作者: 月島 秀一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

260/445

桜の国チェリンと七聖剣【三十一】


 ローズが三歳のときの写真を目にしたリアは、


「うわぁ、可愛い……! まるでお人形さんみたいですね!」


 目をキラキラと輝かせ、前のめりになってのぞき込んだ。


「ふふっ、この頃から凛とした空気を(まと)っているのね」


「可愛らしくもあり、かっこよくもあるな!」


「めちゃくちゃ美人さんなんですけど……!」


 会長たちもそう言って、口々に率直な感想をもらす。


(確かに可愛いらしいな……)


 三本の蝋燭(ろうそく)が立てられた誕生日ケーキ。

 それを前にして微笑む彼女は、まるで絵本から飛び出してきたような愛らしさがあった。


「ばらららら! そうじゃろう、そうじゃろう! ローズは小さい頃から本当に可愛い子でのぉ……まさに『目に入れても痛くない』というやつなんじゃ!」


 自慢の孫を褒められたバッカスさんは、これ以上ないほど嬉しそうだった。

 どうやら彼もグリス陛下やロディさんと同じく、重度の子煩悩(こぼんのう)。いや、孫煩悩(まごぼんのう)のようだ。


「――ところでバッカスさん、他の写真はないんですか?」


 リアがそう言って、期待に満ちた目を向けた。


「おぉ、そうか! 見たいか! 客人にそこまでねだられたならば、仕方あるまい……今日だけ特別に大公開してやろう!」


 上機嫌な彼は、破れないようゆっくりと次のページをめくる。

 するとそこには――桜色の美しい着物に身を包み、おいしそうにりんご飴をかじるローズの写真があった。


 だいたい八歳ぐらいだろうか?


 写真の中の彼女は、さっきよりもかなり成長していた。


「これは数年前、リーンガード皇国へ行ったときのものじゃな。確か……『商人の街』ドレスティアとか言ったかのぅ? ちょうど『大同商祭(だいどうしょうさい)』なる祭りが開かれていて、凄い人混みじゃったわ」


 バッカスさんは遠い目をしながら、そんな説明を口にした。


 去年の四月頃、俺とリアとローズは一緒に大同商祭を見て回っている。


(そう言えば、あのとき……。『ここへは昔、お爺さまに連れてきてもらったことがある』って、ローズが言っていたっけか……)


 一年ほど前の会話を思い出していると、バッカスさんはまた一枚ページをめくった。


「次は……おぉ、懐かしいのぅ! これはローズが四歳の頃、おねしょをして落ち込んでいるときのものじゃ!」


 そこに写っていたのは、物干し竿に掛けられた子ども用の布団とどこか哀愁(あいしゅう)漂うローズの小さな背中。

 よくよく見れば、干された布団にはちょっとした『湖』があった。


「あやつが『お化けなんて怖くない!』と言いよるから、夜遅くに『とっておきの怪談話』を披露してやれば……結果はこの通りじゃ。悔しそうに『不覚……っ』と呟いておったのをよぅく覚えておるわ!」


 バッカスさんは楽しそうに、ちょっとした笑い話を語る。


 どうやら彼女は、小さい頃からお化けが大の苦手らしい。


 そんな風にローズの写真を見ていると――居間の扉がガラガラと開き、たくさんの湯呑みを手にした彼女が入ってきた。


「みんな、すまない。少し遅くなっ……た……!?」


 バッカスさんが手にした古いアルバム、そこへ貼られた写真、それを鑑賞する俺たち。


 一つ一つゆっくり状況を飲み込んでいったローズは、羞恥(しゅうち)のあまり頬を真っ赤に染めていく。


 そうして耳まで真っ赤にした彼女は、


「な、な、な……何をしているんだ!?」


 大きな声でそう叫んだのだった。

※『一億年ボタン前夜祭(ぜんやさい)』開催のお知らせ!


『一億年ボタン』第1巻の発売まで後2日! 後わずか2日……っ。


明日は発売直前のお祭り『一億年ボタン前夜祭(ぜんやさい)』として、読者のみなさまが『ほぼ全員』参加できるちょっとした企画を『19:00~』より開催致します! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ