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一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~  作者: 月島 秀一


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桜の国チェリンと七聖剣【三十】


 ローズの案内のもと飛空機で空を飛んで行けば、ものの十分もしないうちにバッカスさんの自宅へ到着した。


「おぉ、これは立派な家だな……!」


 俺がそんな感想を口にすれば、


「こんなに力強い邸宅は、ヴェステリアでも中々お目にかかれないわよ……!」


「か、かっこいい……っ。『渋み』というか、『深み』というか……とにかく()かしてるぜ!」


 リアとリリム先輩もその後に続いた。


 目の前にそびえ立つのは、大きな木造の平屋。

 しかし、チェリンの街並みでよく見られたものとは、威厳や貫禄のような『風格』が段違いだ。


 四方で存在感を放つ黒い柱は太ましく、何より大自然の力強さを感じさせる。

 バッカスさんサイズの巨大な門には、威風堂々とした迫力があった。


 しかも、真正面に咲き誇るは億年桜。

 その眺望(ちょうぼう)は、これ以上望むところがない。

 彼が自慢気になるのも納得だ。


「ふっ、気に入ってくれたようで嬉しいぞ。ここは私の一族が代々住み続けている家でな。築年数は軽く『千年』を越えているという話だ」


「「「「「ち、築千年……!?」」」」」


 ローズの説明を聞いた俺たちは、思わず息を呑む。


「あぁ、そうだ。しかし、懐かしいな……。私がこの家を()って、もう五年にもなるのか……」


 彼女はどこか遠い目をしながら、家の柱をそっと撫でたのだった。



「――お爺さま、ただいま戻りました」


 ローズが玄関の扉を開ければ、


「おぉ、待っておったぞ! さぁ、早く居間の方へ来るがいい!」


 バッカスさんの大きな声が家の奥から返ってきた。


 それから俺たちは、ローズの後に続いて長い廊下を歩いていき――突き当りにある横開きの扉をガラガラと開く。


 するとそこには、二十畳以上にもなる大きな居間が広がっていた。


「――ばらららら、よく来たな! お前さんらは、ローズが初めて連れてきた友達だ。盛大にもてなそう!」


 部屋の最奥に置かれた特大の椅子。そこに腰掛けたバッカスさんは、豪快に酒瓶を(あお)る。


(おもてなしって……『これ』、だよな……?)


 中央に設置された縦長の机には、大量の酒瓶と酒のツマミがこれでもかというほど並べられている。


「あ、あの……これは……?」


「酒とツマミじゃ」


「……ですよね」


 それは見ればわかる。


「一グラム十万ゴルドの肉だの。一杯百万ゴルドの酒だの。これまでありとあらゆるものを飲み食いしてきたが……。たかだか一本千ゴルドもしねぇ、故郷の安酒が一番うまい。さぁさぁ、遠慮せずグイッとやってくれ!」


 バッカスさんはそんな話を語り、上機嫌に「ばらららら!」と笑った。


「はぁ……。お爺さま、もうおボケになられたんですか? 私たちはまだ未成年ですよ?」


「んん? そんな固いことを言うでない! 第一、儂が小さい頃なんぞはな――」


「――駄目なものは駄目です」


 ローズはそう言って、机の上に並んだ酒瓶を素早く回収していった。


「ろ、ローズ……っ。酒盛りは、爺ちゃんの数少ない楽しみなんじゃ。見逃してはくれんか……?」


「はぁ……。もういい年なんですから、体を大事にしてください」


 彼女はぴしゃりとそう言い放ち、


「あ、あぁ……っ!?」


 バッカスさんから酒瓶を奪い取った。


(あはは、本当に仲がいいんだな)


 あれだけ大きく見えた彼が、この瞬間ばかりはどこにでもいる普通のお爺さんだ。

 この様子を見る限り、二人は強い信頼関係で結ばれているのだろう。


「ぐぬぬ、久しぶりの再会だというのに……。相変わらず、手厳しいのぅ……」


 バッカスさんはそんな泣き言をこぼしながら、机の上に置かれた分厚いサラミを口にした。


「――みんな、すまないな。今すぐお茶を準備するから、座って待っていてくれ」


 ローズはそう言って、大量の酒瓶を抱えながら居間を後にした。


 その数秒後、


「――よし、行った(・・・)()


 バッカスさんは「計画通り」とばかりに怪しく微笑んだ。


「さて、お前さんらには特別に『とっておき』を見せてやろう!」


 彼は自信満々にそう言うと、戸棚の中から分厚い本を取り出した。


「それはなんでしょうか……?」


「そうだのぅ……。言うならば、この世界で最も尊いものじゃ」


 バッカスさんは大きく息を吐き出しながら、優しく手元の本を撫でた。

 どうやら、かなり大事なものらしい。


「ふぅー……。よし、そろそろ開けるかのぅ」


 何度か深呼吸をして気持ちを整えた彼が、ゆっくり表紙をめくるとそこには、


「こ、これは……!?」


「ふふっ、驚いたか? これはローズが三歳の誕生日を迎えたときの写真だ。まるで天使の如き可愛さじゃろう……?」


 誕生日ケーキを前にして微笑む、とても可愛らしいローズの写真が貼り付けられていた。


『一億年ボタン』第1巻の発売まで、後3日!


本日は10月19日発売の『一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~』の特典情報をお知らせさせていただきます!


■アニメイト様

A.B-T.C

アニメイト様オリジナル特典カードです。

アレン・リア・ローズのイラストが光る、かっこいい仕上がりとなっております。


■とらのあな様

SS『アレンの宿敵』

宝石店で銀行強盗を捕まえた後、アレンとリアはいつものように二人で晩ごはんを食べることとなる。

しかし、その食卓にはアレンの宿敵ともいえる『アイツ』が占領していた……。


■メロンブックス様

SS『ローズのアホ毛』

毎朝芸術的な寝癖で登校してくるローズ。

ある朝、彼女の頭にはそれはもう見事なアホ毛が立っていた。

さすがに見かねたリアは、髪を整えてあげようと奮闘するのだが……。


■ゲーマーズ様

SS『ドドリエルの苦悩』

落第剣士に敗れ、絶望のどん底に叩き落とされたドドリエル=バートン。彼は、ゆっくりと闇に堕ちていく。

さらにアレンとドドリエルには、『奇妙なすれ違い』があった……。


■WonderGOO様

アレン・リア・ローズのポストカード。

とてもお洒落で、いい感じの仕上がりとなっております。


※これらの特典は全て『数量限定』で、なくなり次第配布終了となってしまうためご注意ください。

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