表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~  作者: 月島 秀一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

254/445

桜の国チェリンと七聖剣【二十五】


 俺が丁寧に自己紹介をすれば、


「儂はバッカス=バレンシア。桜華一刀流、十六代目正統継承者にして『世界最強の剣士』だ! よろしく頼むぞ、アレンよ」


 彼は大きな声でそう名乗り、その(いわお)のような右手を差し出した。


「こちらこそ、よろしくお願い致します」


 俺はその手をギュッと握り、しっかりと握手を交わす。


 バッカス=バレンシア。


 外見年齢は五十半ばぐらいだろうか。

 (ほり)の深い顔には大きな(しわ)が刻まれ、煌々(こうこう)と輝く真紅の瞳はローズと瓜二(うりふた)つだった。


 二メートルを超える巨躯(きょく)に鋼のような筋肉。

 オールバックにされた短い白髪。

 口の周りには、綺麗に整えられた白い髭が存在感を主張している。


 特に印象的だったのは、左胸に浮かび上がった黒い『桜の紋様』だ。

 上は桜吹雪のあしらわれた、丈の長い白地の羽織のみを纏い、下はシンプルな黒いズボンを穿()いている。

 腰に差された大きな太刀からは、大きな圧迫感が発せられていた。


(しかし、それにしても硬い手だな……)


 これまで握ったどんな人よりも、ゴツクて分厚くて力強い。


(きっととんでもなく長い時間、ただひたすら剣術と向き合ってきたんだろうな……)


 俺がそんなことを思っていると、


「馬鹿な、あり得ん……っ」


 バッカスさんは険しい表情でそう呟く。


「ど、どうかしましたか……?」


「小僧、この手……。いったい何年剣を振り続けた?」


 突如投げ掛けられた鋭い質問に対し、


「え、えーっと……だいたい十年ぐらいですかね」


 俺は曖昧(あいまい)な答えを返した。

 実際は十数億年と十年だけど、そこは伏せなければならない。


「ばらら、とぼけても無駄だぞ? 凡百(ぼんぴゃく)のボンクラはごまかせても、この儂を相手にそうはいかん。見る者が見ればわかる――貴様のこの手には、歴年の重みが載っておる!」


 バッカスさんは、かつてローズが剣武祭で口にしたのとほぼ同じ言葉で迫ってきた。


(……困ったな)


 レイア先生からは「一億年ボタンと時の仙人について、一切他言しないように」と言われているし……。

 第一あんな荒唐(こうとう)無稽(むけい)な話をしても、きっと信じてもらえないだろう。


(さて、どうやってバッカスさんの追及を切り抜けようか……)


 そんな風に頭を悩ませていると、


「小僧、もしや貴様……『一億年ボタン』の呪いを打ち破った『超越者』ではないか?」


「……っ!?」


 彼はその紅い瞳を細く尖らせながら、とんでもないことを口にしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ