表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~  作者: 月島 秀一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/445

桜の国チェリンと七聖剣【十五】

※あとがき欄に大きなお知らせがございます!


 桜物(さくらもの)を身に付け、桜の国チェリンに染まった俺たちは人の流れに沿って歩いていた。


「――ところで会長、これからどうする予定なんですか?」


 俺がそんな質問を投げ掛けると、


「えーっと、ちょっと待ってね」


 彼女はそう言って、懐から可愛らしい手帳を取り出した。


「とりあえず国宝の『億年桜』を目指しながら、観光名所を回っていくつもりよ。後は、食べ歩きなんかもいいかもしれないわね」


「食べ歩き! いいですね!」


『花より団子』のリアは、目を輝かせて食い付いた。


 その一方でローズは、難しい表情を浮かべる。


「しかし、今から観光をするとなれば、億年桜へ到着する頃には昼時を回ってしまうな……」


「昼を回ると、何かまずいことでもあるのか?」


「あぁ、あの一帯は年中盛大な花見が開かれていてな。早朝から熾烈な場所取り合戦が行われるのが常だ。正直、今から行ったとしても端の方に座れれば万々歳。それが昼時を回るとなれば、最悪立ち見になるかもしれないな……」


「そ、そんなに凄い人なのか……っ」


 俺たちがそんな話をしていると、会長がすぐにその不安を消し飛ばしてくれた。


「大丈夫、その点については心配ご無用よ。アークストリア家の使用人が、現地でしっかり場所取りをしているの。それに食材や飲み物、遊び道具なんかも全て準備してあるわ!」


「そ、それはありがたいんですが……。なんだか、(いた)れり()くせりで申し訳ないですね……」


 移動手段・宿泊場所・場所取りに食べ物の準備まで、全てアークストリア家に面倒を見てもらっている。

 嬉しい反面、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。


「ふふっ、気にしないで。今回はお父さんがえらく張り切っちゃってね。『娘の命を救ってくれた恩人たちだ。アークストリア家の威信に賭けて、最高のおもてなしをするんだ』って、うちの使用人に厳しく言い付けているのよ。だから、アレンくんたちは思う存分に楽しんでちょうだい」


「なるほど、そういうことでしたか」


 ロディスさんは会長のことを溺愛(できあい)しており、俺たちが政略結婚を潰した一件について深く感謝していた。

 どうやらこの春合宿には、そのお礼の意味も含まれているらしい。


(せっかくのご厚意だし、今回はありがたく甘えさせてもらおうかな……?)


 俺がそんなことを考えていると、


「――さて、そろそろ行きましょうか!」


 会長が元気よく声を上げ、いよいよ桜の国チェリン巡りが始まったのだった。


 それから俺たちは、現在地から最も近い観光名所――桜月堂(おうげつどう)というお寺へ足を運ぶ。


 その目的は、境内で()かれた桜線香(さくらせんこう)だ。


 なんでもその煙を頭にかければ、頭がよくなるという言い伝えがあるらしい。

 この中で一番成績の悪いリリム先輩は、張り切ってそこへ向かい――何故かその煙を胸いっぱいに吸い込んで当然のようにむせ返った。


 いったい何故そんな奇行に及んだのか問い詰めれば、


「頭からかぶるだけじゃ、足りないと思ったんだよ。やっぱり御利益(ごりやく)ってのは、こう……全身で感じないとな!」


 などと、およそ常人では理解の及ばない供述を残した。


 多分だけど、桜線香の効き目は薄いと思われる。


 そうして次に向かったのは、二対の大樹が寄り添い合ってできた『円縁(えんえん)桜』だ。

 ここは『縁結び』の効果があるパワースポットのようで、リアとローズと会長はしばらくこの場から離れたがらなかった。


 そんな三人に対し、悪戯好きなリリム先輩とフェリス先輩がニヤニヤとちょっかいを加え……それはまぁいろいろと大変だった。


 その後、何か所か有名な観光名所を巡ったところで、ようやくこの国の名物『桜餅』の販売店を発見した。


 店の名前は『チェリンの餅屋』。

 ローズの話によれば、創業五百年を超える『老舗(しにせ)中の老舗』らしい。


 俺たちはそこで一個ずつ、桜餅を頼んだが……。

 なんとリアは――たったの十個しか注文しなかった。


(どこか具合でも悪いのか、それとも気分が優れないのか……)


 心配でたまらなくなった俺が「どうして、たったの十個なんだ?」と問い掛ければ、


「本当はもっとたくさん食べたいけど……。今はみんなで食べ歩き中だから、持ち歩ける量だけにしたのよ」


 彼女はそう言って、いつも通り元気な笑顔を見せてくれた。


 こんな風に俺たちは、いろいろなものを見て、体験して、食べて――とても楽しい時間を過ごした。 


 そうしてようやく、たどり着いた。

 桜の国チェリンの南端、そこに咲き誇る国宝億年桜へ。


「これは……凄いな……!」


 眼前に広がるのは、まさに一面の『桜化粧』。

 これまで見たことのない鮮やかな桜吹雪が、俺の心を強く揺さぶってきたのだった。


※とても大事なおはなし!


いつも『一億年ボタン』を応援いただき、ありがとうございます。


本日は『このページの一番下』の部分にて、書籍版第一巻のカバーイラストを大公開!


そしてさらに――『特報』がございます!


去年の10月頃から書き始め、今年の2月1日に連載開始。

ほとんど丸々一年掛けて作り上げた、この『一億年ボタン』。

その記念すべき『第一巻の予約』が、ついにAmazonより始まりました!(発売日は10月19日です!)


出来栄えとしては……まさに『傑作』!

私が小説を書き始めて早数年、その中でも『最高の一冊』だと自負しております!


Web版を読んでいても楽しめるよう、書籍版には『大幅な加筆』を加えました!

アレンとリアの関係性が深まる新規書き下ろしエピソード・新イベントの追加・各キャラクターのセリフと地の文の大幅加筆などなど!

さらには超可愛くて、かっこいい口絵や挿絵も盛りだくさん!


文庫本一冊の中に、ありったけの情報を詰め込みました!


一年掛かりで作り上げた『一億年ボタン』の記念すべき『初版』!

今、予約をすれば確実に初版が手に入ります!

ぜひお買い忘れのないよう、Amazonなどで予約していただけると嬉しいです!


最後になりますが、ここまで来ることができたのは、ずっと応援を続けてくださった読者のみなさまのおかげです。本当に……本当にありがとうございます。

物語はまだまだ続いていきますので、今後も応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ