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一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~  作者: 月島 秀一


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桜の国チェリンと七聖剣【十一】


 ちょうど近くにあった『桜商店』というお店へ入るとそこには、とても華やかな空間が広がっていた。


「こ、これは凄いな……っ」


 店内の各所に置かれた桜の木々を模した大きな置物。

 あちこちに散りばめられた、色鮮やかな桜のはなびら。


 しかも、それだけじゃない。


(桜煎餅(せんべい)・桜酒・桜扇子(せんす)・桜剣・桜タオル、か……。もはやなんでもありだな……っ)


 右を見ても左を見ても桜・桜・桜――ありとあらゆる商品が、桜にあやかった仕様になっていた。


「そ、それにしても凄い人ね……っ」


「私が住んでいた頃より、また一段と増えたようだな……っ」


 リアとローズは、店内を埋め尽くさんとする人の数に圧倒されているようだ。


「ふふっ、なんだかお祭りみたいで楽しいわね!」


「た、確かにそうだが……。この人混みの中、六人で行動するのは大変だぞ……っ」


「正直、既にけっこう苦しいんですけど……」


 リリム先輩とフェリス先輩の発言を受けた会長は、


「そうね。それじゃ、みんなでそれぞれ気に入った桜物を買ってから外で見せ合いっこする、っていうのはどうかしら?」


 そんな名案を口にした。


 そうして俺たちは桜商店の中で、それぞれ買い物をすることになった。


「――さて、何を買おうかな」


 みんなと別れた俺は、狭い通路をゆっくり進んで行く。


 リアたちと違って、俺には『大きな制限』があった。


 それはもちろん、お財布事情だ。


(そう言えば、いくら持ってきたっけかな……?)


 懐からガマ口の財布を取り出し、念のためこちらの戦力を確認する。


(手持ちはちょうど一万五千ゴルド、か……)


 これはこの春合宿で使える全財産であり、去年地方の剣武祭(けんぶさい)で獲得した優勝賞金の残りだ。


(……大事なお金だ。よく考えて使わないとな……)


 そうして自軍の戦力を確認したところで、いよいよ敵部隊の視察へ移っていく。


(け、けっこうするなぁ……っ)


 ただのシャツやちょっとしたハンカチでさえ、どれも三千ゴルドを軽く越えている。

 きっとこれが『観光地価格』というやつなんだろう。


(で、できるだけ安くて……。デザイン的にいい感じの『掘り出し物』を見つけないと……っ)


 そうして店内を物色すること十分、ようやく条件に合致するものを見つけた。


(……よし、これに決めたぞ!)


 淡い桜色をした腕時計、二千ゴルド。

 この中ではお値段も控え目だし、見た目もお洒落だ。


 それから俺は店員さんへお金を支払い、無事に桜物を手に入れた。


(これでよしっと……。後は全員の買い物が終わるまで、少し店内を見て回ろうかな)


 人の流れに沿って通路を進んでいけば、みんなの姿が目に入った。


 ローズは真剣な表情で扇子とにらめっこしており、会長はとても楽しそうに帽子を試着していた。

 リリム先輩はノリノリで様々なサングラスを掛け、フェリス先輩は小物入れに目を向けている。


 そんな中、


(……リア?)


 彼女は一人難しい表情を浮かべながら、とあるガラスケースを見つめていた。


(かなり集中しているな……)


 俺が近付いて行っても、全くこちらに気付いた素振りがない。


(いったい何を見つめているんだろうか……?)


 リアの視線を追っていくとそこには――桜色に輝く美しい指輪があった。


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