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一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~  作者: 月島 秀一


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入学試験とバレンタインデー【十九】


 集団演習を無事に乗り切った俺は、大きく息を吐き出す。


(ふぅ、さすがに少し疲れたな……)


 まさかA組の男子全員と戦うことになるなんて、夢にも思っていなかった。


(でもまぁ、『いい経験』にはなったか)


 剣士というのは、日々戦いの連続だ。


 魔剣士は害獣や魔獣と戦い、聖騎士は凶悪犯や黒の組織といった犯罪組織と戦う。

 そしてそれらの戦闘は、なんらかのイレギュラーによって突如発生するものが多い。

 今のような予期せぬ集団戦を乗り切った経験というのは、きっとまたどこかで()きてくるだろう。


 そんなことを考えながら、ゆっくり体を伸ばしていると、


「うわぁ、やっぱり強いなぁ……」


「『国家戦力』のアレンくんに勝てるわけがないのに……。男子は馬鹿だねぇ……」


「それにしても、あの優しい顔であんなに邪悪な闇を出すんだから……。とんでもないギャップよね……」


 三グループに分かれて集団演習を行っていた女子たちが、チラチラとこちらに目を向けながら小声で話し合っているのが目に入った。


(まさか、襲って来ない……よな?)


 男子全員と剣を交えた直後に、女子全員と戦うのはさすがに大変だ。

 何よりリアとローズ――希代の天才剣士を同時に相手取れば、かなりの苦戦を強いられるだろう。


(まだ体が完全に起きてない一限目から、そんな厳しい授業は勘弁だぞ……っ)


 俺がそうして顔を引きつらせていると、


「ちっ、あれだけ不利な状況を作っても傷一つ負わないか……っ」


 レイア先生は大きな舌打ちをしつつ、忌々(いまいま)しげにそう呟いた。


(……おかしいな)


 クラスの男子生徒(しか)り、先生然り……何故か今日に限って、俺への『当たり』がとてもきつい。


(みんなに恨まれるようなこと、やってない……よな?)


 そうして俺が頭を悩ませていると、先生はゴホンと咳払いをした。


「――見事な戦いぶりだったぞ、アレン」


「……どうも」


 さっきの舌打ちには、いったいどういう意味があったのか。


(正直、かなり気になるところではあるけど……)


 藪蛇(やぶへび)になっても面倒なので、グッと呑み込んだ。


「早速で悪いが、あいつらの傷を治してやってくれ。さすがにあんな状態では、この後の授業に差し支えが出るからな……」


 彼女はそう言って、地面に転がったテッサたちへ視線を向けた。


「え、えーっと……。俺も疲れているんですけど……?」


 俺だって人間だ。

 たった今とてつもなく不利な戦闘を済ませたばかりなんだから、少しぐらい休憩が欲しい。


「ふっ、今更になって何を言うかと思えば……。君の体力と霊力は、人の枠を大きく越えている。十四人の魂装使いを斬って治療するぐらい、どうということはないだろう?」


 先生はまるで「朝飯前だろう?」と言わんばかりに微笑む。


 この感じだと……反論する方が時間と体力の無駄だろう。


「はぁ、わかりました……」

 

 そうして俺は微妙に釈然としない思いを抱きながら、テッサたちの傷を癒していったのだった。


 その後、二限に実施された筋力トレーニングは、なんの問題もなく無事に終わり――ようやく昼休みとなる。


 俺とリアとローズの三人は定例会議に出席するため、それぞれお弁当を持って生徒会室へ向かった。


 それからいつものように俺が扉をノックすれば、


「――入ってくれ」


「どうぞなんですけど」


 リリム先輩とフェリス先輩の硬い声が返ってきた。


(あれ、珍しいな……。いつもは会長が返事をするのに……どうしたんだろう?)


 ちょっとした違和感を覚えつつ、俺がゆっくり扉を開けたその瞬間、


「――アレンくん、ずっと前から好きでした!」


「私の本命チョコ、受け取って欲しいんですけど……!」


 顔を赤く染めた二人が、可愛らしい小包を差し出した。


(……フェイクだ)


 俺はすぐさまそう確信した。


(これが本命チョコだという可能性は――ゼロだ)


 あの悪戯好きのリリム先輩とフェリス先輩が、こんな行動に出るなんて天地がひっくり返ってもありえない。


 何か『裏』があると見て、間違いないだろう。


 そう判断した俺は、素早く生徒会室全体を見回した。


 すると――部屋の端。

 かつてセバスさんが使っていた机の上に、見慣れない『箱』が置かれてあるのを見つけた。


 それは上品な白い小箱だ。

 オルゴールのようにも見えるし、小さな宝石箱のようにも見える。


 しかし、俺の記憶が正しければ……それは昨日まで、この生徒会室に存在していなかった。


(……怪しい)


 不審に思った俺が、よくよく注意して見れば――その箱には米粒ほどの小さな穴が空いており、その奥に光沢を放つレンズのようなものがあった。


(なるほど、そういう(・・・・)こと(・・)か……)


 リリム先輩とフェリス先輩の仕込んだ『罠』、それをコンマ数秒で看破した俺は、


「あっ、どうもありがとうございます」


 軽くお辞儀をして、二つの『本命チョコ』をなんでもない風にサッと受け取ったのだった。


※とても大事なおはなし!


みなさまのおかげで『一億年ボタン』は連載200話を超え、毎日更新記録も『221日目』まで伸びました!


ありがたいことに令和元年の年間ランキングでも、ぶっちぎりの『第1位』に輝いております!

連載を開始したころは、まさかこんなところにまで来れるとは夢にも思っていませんでした……。

ここまで来られたのは、全てみなさまの応援のおかげです!

本当にありがとうございます……っ!


今後も頑張っていきますので、どうか応援のほどお願いします……っ!


最後に、ここまでの――『全8冊分』の物語はいかがだったでしょうか?


この下にあるポイント評価から、1人10ポイントまで応援することができます!

10ポイントは、冗談抜きで本当に大きいです……!


『面白いかも!』

『続きを読みたい!』

『連載200話突破おめでとう! 陰ながら応援してるよ!』

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今後も毎日更新を続けるための『大きな励み』になりますので……!

どうか何卒よろしくお願いいたします……!!


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