笑顔と可愛い
うっかり忘れておりました。
翌日吸血鬼が森に行くと昨日の少女が地面に大の字になり日なったぼっこをしていた。
「……貴様何故いる……」
「んー…、あっ!吸血鬼さんおはよう」
ヴァルツァーは地面にから吸血鬼を見上げながら笑顔で挨拶をする。横に置いてあるバケットの中にはパンとオレンジジュースに古びた本が入っている。
「……貴様二度もここに来るとは余に余程血を吸われたい様だな……」
「えー…、違うよーハズレー私は戸々に薬草を取りに来たんだー」
吸血鬼はヴァルツァーを睨みながら牙を見せ威嚇するが全然堪えた様子もなくニコニコと笑顔で吸血鬼を見ている。
「ほらさぁ~、昨日私薬草を摘みに来たんだけど量が少なかったから昨日も来たんだー」
「なら何故貴様はそこで寝ているのだ、早く摘んで帰ればよいではないか……」
「…………」
「…………なんだ…」
「…………」
「……おい、急に黙りだしてどうした……」
ヴァルツァーは吸血鬼を無言で見ている。嫉妬や恐怖の目線で見られる事は多々あったがそう言った感情の無いただ見つめるだけの瞳で見つめられた事の無い吸血鬼は居心地の悪さを覚えだした。
「吸血鬼さんって……」
「余がなんだ?」
「可愛いね」
「!!?」
ヴァルツァーが発した言葉に吸血鬼は驚き困惑する。しかし、ヴァルツァーは続きの言葉を吸血鬼を見ながら話す。
「貴様は何を言っているのだ、余が可愛いだと!?貴様は馬鹿なのか!?」
「わぁ~、吸血鬼さん酷いー」
「貴様がわけの分からん事を言うからだろう!」
「えー、だって吸血鬼可愛いよー」
「~~!!?」
この日吸血鬼は産まれて初めて可愛いと言われました。