吸血鬼の彼
思い付きで書き出しました。
その吸血鬼は独りぼっちでした。
吸血鬼は強者でした。他の吸血鬼は畏怖したした。敬われ恐れられ、避けられました。影で悪口を言われているのを知っていました。
しかし吸血鬼は悲しいとは思いませんでした。
産まれてから独りだった吸血鬼はそれが"普通"だったのです。吸血鬼は自分が他と違う事を知っていました。逆らうものは皆殺しました。同胞だろと他種族だろうと区別なく殺しました。
そして、500年が経ちました。吸血鬼を近づく者はいなくなりました。皆彼を見ると逃げ出します。暗殺者でさえ彼には敵わず命乞いをしました。吸血鬼は畏怖の象徴になりました。
それでいいと吸血鬼は思います。
これでもう誰も近づかないだろう。関わらないだろうな。話しかけないだろうな。一人ななれる。
吸血鬼は理解出来ない胸の痛さにその場にうずくまりました。
「……寒いなぁ……」
吸血鬼はふっとそう洩らしたました。
すると一人の少女が川の向こうからやって来ました。吸血鬼は自分を見れば逃げるだろうと思い放置しました。
すると…
「吸血鬼さん寒いの?」
少女は吸血鬼に話しかけました。吸血鬼は驚きました。よもや人間の少女が自分に話しかけてくるとは思っていませんでした。
この日吸血鬼は初めて人間に興味を持ちました。
側近さんと魔王様も宜しければ見てみてください。