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On my deathbed ~せめて妻と子に看取られて~  作者: 弓月斜
私の人生
8/24

私は今、人生を変える

―午前二時


 私は未だに寝られずにいた。もうとっくに妻は隣で小さな寝息をしながら寝ていた。このままでも寝られそうにないので気分転換をするためにベランダへ出て外の空気を吸うことにした。

外に出て上を見上げるとそこには満天の星が無数に散らばっていた。私はその美しさに見とれてしまい、しばらく上を見上げたままになってしまった。

そして、街を改めて見渡す。家の灯が全て消えた街に月の明かりが反射している光景は幻想的であった。目を瞑って大きく深呼吸をした。すると、私はここにいる、ここにちゃんと存在している。そんな確信が得られたような気がした。

 今日、私は自身の人生をめちゃくちゃにした運命を塗り替えた。きっと、これから始まる私の人生は大きく変わることになるだろう。黒を白に塗り替えるのは決して容易いことではないだろう…けれど、私はその人生という名のキャンバスに何度も白を塗って、黒を無かったものにしようと決めた。重ね塗りは油絵の基本であるように、人生も努力の積み重ねが大切である。これからも気を抜かずに頑張ろうではないか。

 私は、その後布団に戻ると直ぐに眠気が差して眠ることができた。


※      ※


柔らかい布団、心地よい温度、コーヒーのほのかな香り…

私は、ゆっくりと目を開けた。どうやら私は本当に過去に戻っているらしい。一夜明けても私の体は二十七歳の私のままだ。

雅史の寝顔を見た後、一階へ降りてキッチンへ向かうと妻がコーヒーと卵焼きを作っていた。

「あら、おはようございます」

「あ…おはよう」

この何気ない挨拶さえ、まだぎごちない…

「テーブルの上に朝食は置いてありますから、食べていて下さい。あと少しでお弁当ができますから」

ななななななんと!妻の手作り弁当が食べられるなんて!ああ神様…

「あ、はい…」

私は、朝食の鮭ごはんを食べて、妻から黄金に輝く(実際には輝いていないが少なくとも私にはそう見えた)手作り弁当を貰うと私は四十五年ぶりの我社へ向かった。


さてさて次は、会社へ。

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