表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
On my deathbed ~せめて妻と子に看取られて~  作者: 弓月斜
俺の人生
20/24

メディアの力って...

 そして、表彰式当日。


 招待状を携えて俺は会場へ足を運んだ。

会場には沢山の人がいた。お偉い方々もいた。

俺が会場に行くと、周囲の人間は怪訝そうな顔をし始めた。とりあえず俺は担当の人に自分が受賞者だということを話した。

すると、その担当者は俺の姿を、目を細めながら見て首を傾げた。

「あの、あなたが受賞者ですか」

その担当者は俺が本当に受賞者なのか不審に思っているようである。

「これが招待状です」

担当者は招待状を受け取り周囲の人間と顔を見合わせ、深々とお辞儀をし始めた。

「これは、これは…大変失礼いたしました。あなた様が今回のアイデアコンクールの受賞者の末広雄二様でいらっしゃいましたか」

 態度を一変させた担当者は俺をステージ上の椅子へ案内した。

その後、間も無く表彰式が行われた。俺がステージに上がると、空気が一瞬凍りついた。

そして間もなく、会場が騒ぎ始めた。

(あの老人が今回の受賞者なの?)

(私、ホームレスのおじいちゃんかと思ったわ…)

(マジか…)

まあ…こんな言葉が俺の耳に入ってきた。

「これから第十回アイデアコンクールの受賞式を始めたいと思います」

司会者がそう言うと、とうとう式が始まった。

「今回の受賞者の末広雄二さんです」

そして、マイクが俺に渡された。

「どうも、私が末広雄二です。今回私が考えたデザインは…」


※       ※

 

 スピーチも何とか無事に終わり、表彰式はスムーズに終わった。

 だが、その後が大変だった。テレビ局の報道陣がたくさん来て俺に質問し始めたのだ。

「あなたがこんなに素晴らしいアイデアを出したんですか」

「年齢は未記入でしたが、実際お幾つなのですか」

「失礼ですが七十代後半ですよね」

 この歳で、受賞した人間はいないらしい、皆珍しがって俺に群がってくる。

そんなこんなで、俺はある程度有名人となった。テレビの取材でテレビ出演することもあった。住所偽装もすぐにバレたが、少年の両親にも許しをもらって、何とかなった。

それより、賞金百万円よりもここ数週間での出演料の方が高額であったのは驚きである。そ

の後すぐに、俺はアパート一室を借りることができた。因みに、俺はこう呼ばれた。


<発明家じぃにあす>


 なんて酷いネーミングセンスだ。これは勝手にテレビで流された。恐らく『じぃにあす』とは、英語の『genius』で『天才』という意味を指すのだろう。

 とうとう俺は街を歩いているだけでそう呼ばれるようになってしまった。しかも、『じぃ』の部分を強調させて…もう恥ずかしくて外もろくに歩けない。おそるべし、メディアの力…



有名人になった「俺」はどうなるのでしょうか。。。?(´・ω・`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ