6
こちらの世界でも俺が前にいた世界と同様、夜になると辺りは真っ暗で静まっていた。
ソファーで寝るのはさすがに、と言われリビングに布団を敷いて俺は寝ていた。
趣味はアニメと睡眠である俺は、授業中、校長先生のお話し中、お風呂中、あらゆる所で寝れるが、今日はやけに目が冴えていた。
時刻は既に1時を回っていた。
今ごろ、深夜アニメ放送してるんだろうなあ。
アニメ見たいなぁ。
ってか、一旦元の世界に帰りたいなぁ。
明日、相談してみよう。
頭の中で色んな事を考えてしまう。
寝る前、寝なきゃ寝なきゃと思うほど色々考えちゃって、目か覚めるよね。
耳を澄ますと、俺の呼吸と時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。
しかし、その中に木が軋む音が紛れている。
しかも、その音は確実に俺に近づいている。
ヤ、ヤバくね?
セフィリアさんか、メイさんだよね?
お化けとかじゃないよね?
俺はそーっと体を起こして確認しようとする──
「(……あれ?!体が動かない?!)」
体どころか声も出ないよ!
デジャブ。
もしや、異世界からこれまた別の異世界に飛ばされるのか俺。
でも、辺りに魔方陣らしきものはないし、召喚はされないっぽい。
しかし、目の前にどんどん人影が近付いてくるのがわかった。
確か、金縛りって色々見えちゃうんだっけ?
このままでは、見てはいけないものを見てしまうと思い、俺は目を瞑った。
「あ、あのすみません……」
ヤバイよ、声聞こえたんだけど。
どこからともなくってか、耳元から声が聞こえたんだけど……。
「あの、すみません!」
今度は怒るように、耳元で声が聞こえる。
「ん?!……ん?!」
うるさいんじゃ、ボケ!と言おうとしたが、声がでなかった。
目を開いて、声のする方を見ると、そこには見覚えのある顔があった。
「メアリです。一日振りです」
ペコリと彼女は挨拶をした。
だけど、俺は微動たりしなかった。
「あ、すみません。魔法をかけたままでした」
すると、彼女は手から青く輝く小さな光を放っては、彼女の胸元に小さな魔方陣が展開された。
そして、光と魔方陣が消える頃には俺の体は動くようになった。
「あらためて、こんばんは。芦澤様」
「え、あ、こんばんは……って、違うよ!どうしたのこんな夜遅くに」
「夜這いです……キャハッ」
「キャハッじゃないよ、魔法で体の自由を封じられるなんてビックリだよ。ってか、ここに来て魔法を初めて見たよ。凄く綺麗だったな」
「それは、魔法と言うのは選ばれた者が授かる神からの贈り物ですから。美しくて当然ですわ」
「そうなんだ……じゃなくて、どうして君がここにいるんだよ!」
「だから、夜這い──」
「じゃないでしょ」
俺は目を細めて、目の前で立ち尽くすメアリさんを見つめる。
「そんな、見つめられては妊娠してしまいますわ」
「いや、しないから!マジで話を反らさない!君、服がボロボロじゃないか」
彼女は貴族であるだけに、高そうなドレスを着ているが、まるで誰かと戦闘をしたかのようにドレスは破れ、汚れていた。
「これは……寝ぼけていた芦澤様に襲われてしまって」
「え?!マジで?!……どうしよ……」
俺は慌てふためく。
ちょ、それってヤバくない?
いくら記憶に無いからって、彼女は貴族だぞ?
ってか、こんなこと王族に知られたら……。
それより、本当に彼女を俺が寝ぼけて襲ったのか?嘘ついてるんじゃね?
え、でも彼女の服破れてるし……。
チラッと見えたパンツにムラッとしてしまう。
ヤバイよ、ヤバイよ。
彼女を見てると、本当に俺ヤっちゃったんじゃね?と思うんだけど。
すると、彼女がフフっと笑い出す。
「嘘に決まってるじゃないですか、全く本気にしちゃって」
「いやいや!その洒落マジでキツいから」
「先程まで魔法かけてたじゃないですか」
「あ、そうだった……」
俺としたことがすっかり慌ててしまったぜ……。
クールにいこうぜ俺。
「だとしたら、その服はどうしたんだい?」
「そ、それは……」
彼女は口ごもる。
何か言いにくい事なのだろうか?
それとも、オシッコを我慢してるのだろうか?
「トイレ?」
「違います!」
平手打ちがクリーンヒット。
「あ!すみません!王族の方に」
「いや、いいんだ俺が無神経だったよ。それに芦澤様っての止めてくれよ。優でいいよ。俺が前いた世界では身分なんてなかったかし、そっちの方が落ち着く」
「そ、そうですか……では、優さん、相談があります」
「おう!任せとけ!」
「いえ、まだ何も言ってないですが……」
「俺は、フェミニストなんだ。女の子のお願いは必ず聞き入れるよう、この前みたアニメの主人公が言ってたんだ」
何のアニメだったっけ?生徒会を舞台にしたアニメだったような……。
よく思い出せないでゲス。