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 こちらの世界でも俺が前にいた世界と同様、夜になると辺りは真っ暗で静まっていた。

 ソファーで寝るのはさすがに、と言われリビングに布団を敷いて俺は寝ていた。

 趣味はアニメと睡眠である俺は、授業中、校長先生のお話し中、お風呂中、あらゆる所で寝れるが、今日はやけに目が冴えていた。

 時刻は既に1時を回っていた。

 今ごろ、深夜アニメ放送してるんだろうなあ。

 アニメ見たいなぁ。

 ってか、一旦元の世界に帰りたいなぁ。

 明日、相談してみよう。


 頭の中で色んな事を考えてしまう。

 寝る前、寝なきゃ寝なきゃと思うほど色々考えちゃって、目か覚めるよね。

 耳を澄ますと、俺の呼吸と時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。

 しかし、その中に木が軋む音が紛れている。

 しかも、その音は確実に俺に近づいている。

 ヤ、ヤバくね?

 セフィリアさんか、メイさんだよね?

 お化けとかじゃないよね?

 俺はそーっと体を起こして確認しようとする──


「(……あれ?!体が動かない?!)」


 体どころか声も出ないよ!

 デジャブ。

 もしや、異世界からこれまた別の異世界に飛ばされるのか俺。

 でも、辺りに魔方陣らしきものはないし、召喚はされないっぽい。

 しかし、目の前にどんどん人影が近付いてくるのがわかった。

 確か、金縛りって色々見えちゃうんだっけ?

 このままでは、見てはいけないものを見てしまうと思い、俺は目を瞑った。


「あ、あのすみません……」


 ヤバイよ、声聞こえたんだけど。

 どこからともなくってか、耳元から声が聞こえたんだけど……。


「あの、すみません!」


 今度は怒るように、耳元で声が聞こえる。


「ん?!……ん?!」


 うるさいんじゃ、ボケ!と言おうとしたが、声がでなかった。

 目を開いて、声のする方を見ると、そこには見覚えのある顔があった。


「メアリです。一日振りです」


 ペコリと彼女は挨拶をした。

 だけど、俺は微動たりしなかった。


「あ、すみません。魔法をかけたままでした」


 すると、彼女は手から青く輝く小さな光を放っては、彼女の胸元に小さな魔方陣が展開された。

 そして、光と魔方陣が消える頃には俺の体は動くようになった。


「あらためて、こんばんは。芦澤様」


「え、あ、こんばんは……って、違うよ!どうしたのこんな夜遅くに」


「夜這いです……キャハッ」


「キャハッじゃないよ、魔法で体の自由を封じられるなんてビックリだよ。ってか、ここに来て魔法を初めて見たよ。凄く綺麗だったな」


「それは、魔法と言うのは選ばれた者が授かる神からの贈り物ですから。美しくて当然ですわ」


「そうなんだ……じゃなくて、どうして君がここにいるんだよ!」


「だから、夜這い──」


「じゃないでしょ」


 俺は目を細めて、目の前で立ち尽くすメアリさんを見つめる。


「そんな、見つめられては妊娠してしまいますわ」


「いや、しないから!マジで話を反らさない!君、服がボロボロじゃないか」


 彼女は貴族であるだけに、高そうなドレスを着ているが、まるで誰かと戦闘をしたかのようにドレスは破れ、汚れていた。


「これは……寝ぼけていた芦澤様に襲われてしまって」


「え?!マジで?!……どうしよ……」


 俺は慌てふためく。

 ちょ、それってヤバくない?

 いくら記憶に無いからって、彼女は貴族だぞ?

 ってか、こんなこと王族に知られたら……。

 それより、本当に彼女を俺が寝ぼけて襲ったのか?嘘ついてるんじゃね?

 え、でも彼女の服破れてるし……。

 チラッと見えたパンツにムラッとしてしまう。

 ヤバイよ、ヤバイよ。

 彼女を見てると、本当に俺ヤっちゃったんじゃね?と思うんだけど。


 すると、彼女がフフっと笑い出す。


「嘘に決まってるじゃないですか、全く本気にしちゃって」


「いやいや!その洒落マジでキツいから」


「先程まで魔法かけてたじゃないですか」


「あ、そうだった……」


 俺としたことがすっかり慌ててしまったぜ……。

 クールにいこうぜ俺。


「だとしたら、その服はどうしたんだい?」


「そ、それは……」


 彼女は口ごもる。

 何か言いにくい事なのだろうか?

 それとも、オシッコを我慢してるのだろうか?


「トイレ?」


「違います!」


 平手打ちがクリーンヒット。


「あ!すみません!王族の方に」


「いや、いいんだ俺が無神経だったよ。それに芦澤様っての止めてくれよ。優でいいよ。俺が前いた世界では身分なんてなかったかし、そっちの方が落ち着く」


「そ、そうですか……では、優さん、相談があります」


「おう!任せとけ!」


「いえ、まだ何も言ってないですが……」


「俺は、フェミニストなんだ。女の子のお願いは必ず聞き入れるよう、この前みたアニメの主人公が言ってたんだ」


 何のアニメだったっけ?生徒会を舞台にしたアニメだったような……。

 よく思い出せないでゲス。



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