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いたって平凡な高校生である俺はその日までは普通の生活を送っていた。まあ普通という価値観なんて人それぞれだから普通の生活って何?と聞かれたところで答えることはできない。かの経済学の父、アダムスミスも「労働価値説」といった絶対的なものでモノの価値を示そうとした。しかしそれは誤りであることが後に分かる。まあ要するにこの世は相対的に出来ているんだということ。だから今から俺の自己紹介をするが、世間の人たちと相対的に比較して「ああ、確かにこいつは凡人だ」と思っていただければ幸いである。ではさっそく自己紹介に入ろう。

 名前は、芦沢あしざわ ゆう

身長は165センチ、体重は55キロで高校三年生にしては少し小柄である。

髪は短めで、いつも跳ね上がっている。

 顔は特に悪い方ではない……多分。

 顔の事で、いじめをうけたりした経験はないし、俺自身は俺の顔は好きだよ。

でも、もしかしたら俺の知らないところで顔の悪口言われてるかもしれない。

なにそれやめてよ。もし本当だったらショックのあまり死ぬまで童貞貫いちゃうよ?

友達少な目だからそこら辺は詳しく知らない。

まあ、あえて顔から何か一つ特徴を挙げるとしたら、黒目の大きさ。

黒目が大きいせいで、顔の表情が少し読み取り辛い。小学生の頃、野球の試合中、右腕を骨折をしてしまい、監督に激痛であることを示したにも関わらず、監督どころか、両親にも信じてもらえず、骨が折れてから3日間骨折を放置プレイされたことがあったな。あれは本当に痛かった。


 まあ、こんな感じでグダグダと説明したが、特に何の変哲もない普通の人間である。

 世の中の全ての人間の平均を出したら俺なんじゃないかな?

 まあ、以上のことは全て俺の主観の捉え方なので、何とも言えないが……。


 そんな一般人の俺が、異世界に旅立つまで3秒前。


 話は変わるが、アニメを見てる俺は、よく周りのやつら(数少ない友達)から『現実みろよ』的なことを言われることがあるが、それは違う。

 むしろ逆なのである。

 現実をしっかり直視し、現実に向き合うことで現実の辛さ経験をしたからこそ、その理不尽さをよく知っている。

 それ故に心の休憩どころとしてアニメを見るのである。むしろアニメ見てないやつって現実見過ぎて感覚がマヒしてるだけなんだと思ってる。

 いわばアニメは宗教なのである。外国に行けば、無宗教は恐れられる。何をしでかすかわからない人間だと思われるからである。したがってアニメ見てる方が世界的に平和。ちょっと意味わかんないね。

 要するに俺はアニメと現実の違いはちゃんと分けられている人間であることを伝えたい。

 だからこれから起こることは妄想でも何でもないんだということ。

 ってか、妄想だったら良かったのになあと思う。




 それは普段通り学校から帰ってきたリビングで起きた出来事だった。

 いつもの様に、家に帰宅した俺は録画していたアニメをダラッと見ながら、ソファーに寝転がり、ポテチをむさぼっていた。

 この時俺は『萌え~萌え~』と連呼していたかもしれない。

 気持ち悪いな俺。

 でも、本気で思うけど二次元のキャラに悪い奴はいないよね。

 アニメを見るたびに新しい嫁ができて、モテる男はまったく辛い。

 お察しの通り、俺は世間で言うオタクと言うやつである。

 ちなみに声優も大好き。

 有名どころの声優なら、声を聞けば名前が出てくるレベル。

 ……いや、割かし世の中には沢山いるかもしれないな。

 俺は声豚じゃない。


 そんな感じでアニメをボーッと見ていると、俺は寝落ちしそうになったのである──

 ……あ、ダメだ。寝るのならテレビ消さないと……。


 そんなことを思いながらウトウトしていると目の前がやたらキラキラし始める──。

 何だこの輝き。まさか俺のカリスマ性が具現化して……。

 そんな訳はなく、俺は閉じかけだった目がハッと開く。

 その光は俺の寝ているソファーから放たれていて、俺の横たわっている所にピンポイントで、魔方陣みたいなものが浮き出ていた──


「ちょ?!これなに……?」


 俺は危険を察知し、その場を離れようとしたが、体が鉛のごとくビクとも動かない。動くのは眼球だけ。

 金縛りか?!


 俺の動揺は収まらないが、魔方陣から放たれるキラキラした光はさらに収まらない。ちなみに俺のっ性欲も収まらない。光が俺の視界を完全に覆っていく──

 やだ! まだ死にたくない! まだ童貞なのに! せめて一回──


 それと平行して、俺の意識も段々と遠くなってきた──



 ※ ※ ※



そこは“魔法”と言うものが日常として存在する世界──

 物を動かす力、他人との通信をする為の電波などは全て魔法の力、魔力が元となって世界が回っている。

 しかし魔法というのものは先天性なものであり、誰しもが魔法を使える訳ではない。


 しかも魔法を使えるのはたった人口の1割にも満たない程度、したがってそういった力に差がある世界は身分に差が出来てしまうのである。


 王族、貴族、平民、奴隷。


 王族、貴族──魔法が魔法を使うことが出来る、高い身分の人達。

 国の人々に、魔力を提供することが主な仕事で、それだけで一生遊んで暮らせる程度の収入が得られる。

 平民──普通の生活を送る人たち。王族や貴族から提供された魔力によって、生活を送っている。

 奴隷──身分制度の中で最下層に位置する人々。


 そして、この世界には変わった習慣があった。

 『王族、貴族は成人前に、魔法を使った儀式を行い、自分の人生のパートナーを召喚する』


 なぜこんなことをするのか、それは至って簡単な理由で家系を絶やさない為である。

 「王族」、「貴族」は魔法が無くなればただの平民に成り下がってしまう。

 逆に「平民」からでも、魔法さえ使えれば「貴族」に成り上がる事が出来る。

 だから「王族」、「貴族」の身分を維持するには、子供に必ず魔法が使えて貰わなくては困るのである。

 だから、魔法によって子種が耐えぬよう、より良いパートナーを召喚するのである。

 魔法が使えるもの同士のサラブレッドであれば、安泰である。

 その為にも、魔法によってベストパートナーを見つけるのである。


 そして、この世界の「王族」であるパルティア家が住まう宮殿、パルティア宮殿の屋上でその儀式が内密に行なわれていたのだった。


 

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