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 と、取り敢えずだ。スキルの説明でも見てみるとしよう。



『【戦場の料理人】:料理が出来、調理器具を武器として扱えるようになる。また、装備出来るようになり、装備した調理器具によってステータス上昇補正を受ける。また、調理器具を用いたスキルアーツが扱えるようになる』



 ……成程。この【戦場の料理人】のスキルがあれば【小刀術】や【小槌術】がなくても調理器具を装備出来るようになるのか。しかも、ステータス上昇の補正も受けられて、専用のスキルアーツも使えるようになる、と。

 純粋にステータスアップがあるなら、スキル融合してもいい気はする。けど、そうすると【小刀術】と【小槌術】で習得したスキルアーツが一切使えなくなってしまうのが痛いな。


 特に、ボス戦でも活躍している【ショックハンマー】が無くなるのはなぁ。あれは状態異常とは違ってあくまでもスキルアーツの効果の一つとしてカウントされるから、耐性自体が存在しない。

 確率的な問題が発生するけど、耐性を無視して一時的に無力化出来るのは相対的なダメージ増加にも繋がるし、回復アイテムによって戦線を維持したりも出来る。

 まぁ、【小刀術】のスキルアーツと【シュートハンマー】なら、【AMチェンジ】でマニュアル操作を何度もしてるから再現自体は出来る。ただし、威力はかなり低下するけどな。そして、【シュートハンマー】に至っては投げても戻って来なくなる。


 ただ、【戦場の料理人】へとスキル融合するメリットは存在する。ステータスアップの他に、調理器具を装備出来ると言う事だ。

 今は【中級小刀術】と【中級小槌術】だけを習得していて、フライパンと包丁を装備している。【戦場の料理人】を習得すれば他の調理器具……フォークとか、麺棒とか、ネットで見付けたこれって本当に調理器具? と言わんばかりの鯨包丁や鮪包丁を装備する事が出来るようになる。

 更に、それ等に対応した専用のスキルアーツも習得されるので、武器を持ち帰る事によって戦術をがらりと変える事が出来る。

 重量級の武器を装備出来るようになれば、仲間の魔法を頼りにせず耐久の高い相手にもダメージを与える事が出来るようになる。まぁ、その場合はきちんと筋力のステータスを上げなければ結局の所扱えないが。


 また、スキルアーツに頼らない遠距離攻撃も出来るようになると思われる。ドッペンの偽者がやっていたようにナイフとかフォークとか、アイスピックがあればそれを投擲出来る。攻撃アイテムを投げるが如く、フォークやナイフを雨霰のように投げ続ければ牽制にもなるし、意識を自分に向ける事が出来て仲間の援護にもなる。

 実際、台所戦争をしていた時は姉貴相手にスプーンを投擲していた。流石にフォークやナイフは危険だからやらなかった。その時は放物線を描くだけで、姉貴におたまで打ち返されて逆に俺の眉間にダメージを負ったという悲しい現実を突き付けられたけどさ。


 何度か練習して回転しながらもまっすぐ飛ぶようになったけど全弾姉貴に防がれるか、弾き返されて俺がダメージを負ったかのどれかだったな。

 今思えば、姉貴はガラスとかが割れないように敢えて全弾受けてたんだと思う。もし、割ってたら両親が揃って雷を俺に落としていただろう。姉貴、全弾撃ち落としたり弾き返したりしてくれてありがとう。


 まぁ、昔の事は置いておくとして。投擲する分、フォークやナイフを多く持っていないといけないし、残量も常に把握しなければいけない。少し前ならいちいちメニューを開いて選択しなければいけなかったが、今はショートカットウィンドウがあるので、そこに登録しておけば瞬時に出す事が出来る。

 詠唱も固有のモーションも必要とせず、遠距離の相手にも、不意を突くのにも使える攻撃方法だ。あって損はない。


 さてさて、どうしたものか?

 俺はルーネの頭を撫で、何時の間にか肩に乗ってきて肩車をしてきたリーフィに髪の毛を引っ張られ、よってきたビーアとソラを膝の上に乗せたりしながら考える事十数分。


「……融合、するか」


 俺は融合する事に決めた。【ショックハンマー】が使えなくなるのは痛いけど、戦術の幅が広がるのは対応力が上がる。それに、いざとなればまた【初級小槌術】を習得して【中級小槌術】までスキル上げをすればいい。

 俺はメニューを弄って【中級小鎚術】、【中級小刀術】、【中級料理】を融合させる。



『【中級小槌術】【中級小刀術】【中級料理】のスキル融合により、融合スキル【戦場の料理人】を習得しました。

 これにより、スキルアーツの一部が消失しました。

 また、新たなスキルアーツを習得しました。    』



 スキル融合も無事に終わり、【戦場の料理人】を習得。

 その後、【採取】と以前習得しておいた【採掘】を融合して【入手】へと変化させておく。


「さてっと」


 俺は外に出て、まずステータスを確認してみる。

 現在、俺はフライパンと包丁を装備している。これによって敏捷と耐久に3%の補正がつくみたいだ。それとなくフライパンを装備から外して菓子作りに使っている泡立て器を装備して見る。すると、耐久の補正が無くなり、代わりに器用に3%の補正がついた。


 確かに、調理器具によって補正を受けるステータスが変わった。となると、包丁を二つ装備すれば敏捷に更なる補正が掛かるって事か?

 俺は以前使っていた包丁を泡立て器の代わりに装備して見る。すると、敏捷の補正が3%から5%に変化した。きちんと効果は重複するみたいだ。

 さて、お次はスキルアーツの確認だ。俺はコマンドウィンドウを開いてみるけど、【蹴舞】に【流星脚】、【捌きの一太刀】に【圧殺パン】しかない。


 多分、スキルアーツの数が八を超えたからセットされてないんだろうなと思い、メニューを改めてみるとコマンドセットの項目が増えていた。

 俺はコマンドセットを選択して、ずらりと並ぶスキルアーツを見て軽く目を開く。

 数にして二十以上はあるんだが……あり過ぎじゃないだろうか?

 コマンドセットではコマンドウィンドウにセット済みのスキルアーツの枠が黄色く光り輝いているので見分けがつきやすい。あと、現在の装備で使用出来ないスキルアーツは若干灰色がかっている。更に、自分で並び替えも出来るようで、取り敢えずセット済みのスキルアーツは上の方へと移動しておいた。


 さて、取り敢えず現在装備してる包丁で出来るスキルアーツでも試してみるか。

 俺は灰色になっていないスキルアーツ二つを選択してコマンドウィンドウにセットし、【AMチェンジ】のスキルを一時的に外しておく。動作が分からないと再現が出来ず体力全損に生命力二割が無くなってしまうからな。


 ルーネ達に離れてるように言ってから、俺は一つ目のスキルアーツを発動させる。

 スキルアーツ【ターンスライス】。大きく円を描くように移動し、その際に包丁を逆手に持って固定する。移動自体は流れるように滑らかで、速さはそこまでない。それでも酔うが……。

 多分、相手の攻撃を躱しつつ身体に沿って包丁をぶっ刺して移動しながら切り付けるんだろうな。

 酔いが醒めてから、次のスキルアーツを試す。

 今度のスキルアーツは【クイックスライス】。目にも止まらぬ速さで前方に移動し、切りつける動作を五度繰り広げる。切りつける際に足は止まらず、駆け抜けながらの五連撃だ。……さっきのより酔う……。


 俺は膝をついて地面に手を付き、暫し回復に専念する。

 手数としては、【小乱れ】よりも減ったけど攻撃速度は上だから隙もその分少ないか。あと、スキルアーツ後の硬直も無いから直ぐに別の行動にも移れるな。まぁ、俺の場合は【AMチェンジ】を装備するから意味ないけど。

 もう少し休んで酔いが醒めたら、今度はフライパンで出来るスキルアーツを試してみるとしよう。


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