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 選ぶとウィンドウが消え、召喚具を取得した旨を伝えるウィンドウが新たに出現する。

 これで、俺の召喚獣は二体。【テイマー】から【サモナー】にチェンジしても臨機応変な戦いをする事が出来る。

 今度、【サモナー】にチェンジして今現在拠点で留守番中のドッペルゲンガーと新入りとでモンスターと戦ってみるかな? 【テイマー】と【サモナー】で戦法を少しばかり変えた方がいいかもしれないし。

 さてさて。これでボス関連の事は終わったので、ゴダイ達に礼を言おう。

 俺達は集まっているゴダイ達の方へと向かう。

「今日はありがとうな」

「ありがとうございました」

「……ありが、とう、ござ……い、ました……」

 俺、アケビ、サクラの順に礼を述べる。サクラは相変わらずどもっているけど、サクラが誘わなければこうしてゴダイ達と一緒にフォレストワイアームを倒す事が出来なかった。今回は色んな意味で一番の功労者はサクラだな。

「みー」

「れにー」

「びー」

 パルミー達も頭を下げる。

「いやいや、こっちこそな。御蔭でこうも早く雪原に行けるようになった」

「俺達だけだと、きっと苦戦していただろうな」

「そうですね。遠距離攻撃がほぼ皆無なので、引き摺り下ろすのに苦労した事でしょう。なので、お誘いいただきありがとうございました」

 ゴダイの言葉にアサギリとツツジノも頭を下げる。

 今回は双方の短所を補えたから上手くいった。遠距離は厳しいが近距離の重火力を持つゴダイ達。一撃は軽いが魔法でサポート、遠距離攻撃出来る俺達。きちんと自分の役割を果たしたからこその勝利だよな。…………まぁ、俺は魔法使える事言い忘れてたけどさ。

「つーか、オウカも魔法使えたのかよ」

 で、予想通りゴダイ達も疑問に思ったらしく俺に尋ねてくる。改めて今日魔法を習得し、それを伝えるを忘れていた旨を話す。あぁ、そうかと納得したが、「普通忘れるか?」とも言われた。…………忘れてて悪かったよ、本当。

「……さて、ボスも倒した事だし俺達はこのまま雪原へ行くけど、オウカ達はどうすんだ? 避ければもう少し一緒に行動すっか?」

「そうだな……」

 ゴダイ達はこのまま雪原に突入するようだ。さっき集まってたのは行くか行かないか決めていたんだろうな。で、俺達も誘われていて、俺としては一緒に行ってもいいとは思っている。

 ただ、サクラとアケビが申し訳なさそうな顔をしている。別に一緒に行くのは嫌と言う訳ではないのは共同戦線張った事から分かっているんだが、どうしてそんな顔をするのか…………あ、思い出した。

「……悪い。装備整ってないから、俺達は雪原には行けないな」

 そうだった。俺達の装備には【耐氷】がない。このまま行くと雪原のスリップダメージを喰らうらしい。エリア特有のダメージらしく、【耐氷】さえあれば、【耐氷・小】でも【耐氷・中】でもダメージを喰らう事が無くなるらしい。

「耐氷の防具ねぇのか?」

「あぁ。このまま行ったらじわじわと生命力が削られる」

 セーフティエリアはダメージを負わないらしいが、モンスターとの戦闘をする場所では普通に減るそうだ。しかも、セーフティエリアは途中で切れるので奥に進む為には絶対に【耐氷】がないと回復アイテムを消費しまくらないといけないそうだ。

「じゃあ、ここで解散って事か」

「そうなるな」

 雪原に俺達が行けない以上、ゴダイ達と一緒に行けないからな。

「今日は助かったぜ。またな」

「次会った時もよろしくな」

「では、また」

「ちゅーっ」

 ゴダイ達は俺達に別れを告げ、森の奥へと進んで行く。

 見えなくなるまで手を振って見送り、サクラとアケビの方へと向く。

「……さて、取り敢えずセイリー族の集落まで戻ってから拠点に戻るか?」

「そうですね」

「うん」

 俺達は北の森からセイリー族の集落へと向かう。

 集落付近まで来ると、そこから【鳥のオカリナ】を使用して鳥召喚。鳥に触れると体が小さくなり、そのまま背中に乗ってセイリー族の集落へと降り立つ。

 降りた瞬間に【醒め薬】を使って酔いを回復。このまま拠点へと向かおうとするが、一応今日の内に見送ってくれたフチにフォレストワイアームを倒した事を話そうと言う事になって神殿へと向かう。

「あ、オウっち達おかえりなさーい」

 神殿に入るなり、フチが俺達を見付けて手を振りながら駆け寄って来る。珍しく、転ばずに。何時もは走って駆け寄って来ると転ぶのに。

「おっと、もしかしてそちらはリトっちですか?」

 フチは目を丸くしながらパルミーを見て俺に問い掛けてくる。

「あぁ。成長してパルミーになった」

「そうでしたか。よかったですねーパルっちー」

「みー」

 早速呼び方を変えて、フチは微笑みながらパルミーの頭を撫でる。パルミーも軽く体を揺らし、目を細めて気持ちよさそうにしている。

 そして、改めて俺達を順々に見て行く。そして納得したように何度も頷くフチ。

「その様子ですと、ワイバーンは倒せたようですね」

「あぁ」

「それはそれは、おめでとうございますっ」

 フチは笑みを浮かべながら俺達の手を握って軽く上下に揺らす。

「あ、そーです。よければこれから私の家に来ませんか? ささやかながらお祝いをしたいのですが」

「いいのか?」

「はいっ。勿の論ですよ」

 サムズアップをしながら頷くフチだが、ちょっと問題があるような気がする。いや、気がするじゃないな。普通に問題あるだろ。お前、今普通に仕事中じゃないか?

「でも、フチさんは今お仕事の最中なんじゃ」

「それは問題ありません」

 俺が思った疑問をサクラが口にして尋ねるも、フチはにっこり笑って首を横に振る。

「と言うと?」

「先輩に言えば簡単に早退出来ますんで」

 どうやら、今日の仕事を放棄する算段らしい。

「いや、別にそこまで」

「あ、せんぱーいっ!」

 アケビの制止を訊かずにフチは丁度通りかかったらしい先輩とやらへと駆けて行く。その際に転びそうになったが、何とか転ばずに先輩とやらを引き止める。先輩とやらは揚羽蝶のような翅を持った、淡い橙色の髪を後ろでくるりと纏めたした女性だ。歳はフチより一回り上と言ったくらいか? 背筋をピンとしてきびきび動いている様から理知的な印象を受けるな。

 先輩とやらは、立ち止まって駆けてくるフチの方へと顔を向ける。

「何だ?」

「オウっち達の戦勝祝いをしたいので、今日はもう帰っていいでしょうか?」

「いいぞ」

 フチの言葉に嫌な顔一つせず、即座に首肯してみせる先輩とやら。

 軽いな、先輩とやら。許可出すのが早い。と言うか、普通にそんな簡単に許可を出せる役職なのか先輩とやらは。

「ただ、今日の残りの仕事は明日きちんとして貰うぞ?」

「当ったり前ですよっ」

 まぁ、流石にそうだよな。今日の分は明日へと繰り越しか。許可は簡単に出すけど、そう言う所はしっかりとしているようだ。

「と言う訳で、許可貰ったので早速行きましょぉぉおおあああああああああああ⁉」

 フチが満面の笑みでこちらに駆けて来るが、とうとうこけてそのまま転がる。俺達を素通りして、そのまま壁に激突する。

「ぎゃん‼」

 正直に言えば、俺に当たらなくてよかったと思っている。フチが転んだり飛んだりすれば、結構な確率で俺にぶつかるからな、何故か。追尾性能があるんじゃないかってくらいに。今回はそんな事にはならなかったからよかったよ、本当。

「さ、さぁ、行きましょう~……」

 目を回しながら立ち上がり、ふらつく足で神殿の出口へと歩いて行くフチ。

 流石にこのままだと人にぶつかる心配があったので、サクラとアケビがフチを支える。



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