Third-1
─Third Time─
ちゅー…。
周りがザワザワとする中、私と彼の間には、ストローでジュースを吸う無機質な音だけが流れていた。
「おまたせしました。
オムライスとミートスパゲティになります」
店員さんがご飯を運んできてくれたおかげで、ようやくその沈黙が破れた。
「ねぇ、冬哉さん」
「冬哉でいいって。何?」
「……何でそんなにニコニコしてるんですか?」
そう、この男、冬哉は、昼に会ってからずーとニコニコしているのだ。
「何でって……嬉しいから?」
私に聞かないで欲しい。
この前の怒った顔や悲しそうな顔が、まるで嘘だったかのような笑顔。
「……冬哉って喜怒哀楽が激しい人?」
思いついた事を言ってみた。
「え?バレた?」
冬哉は、たいして気にしていないといったふうに、オムライスを口に運ぶ。
自覚あるんですね!
半ば呆れたような気分で、私はスパゲティを食べ始めた。
「………」
「………」
「…あのさ」
しばらく黙々とスパゲティを食べていたら、冬哉から話しかけてきた。
「はい?」
「…やっぱり、楽しくない?」
……は?
いきなり何を言うかと思えば…。
そんなの…。
「そうですね。
まさか爽やか笑顔のイケメンストーカーと食事するなんて思ってなかったので…」
「ぶーっ!!」
私の返事を聞いたと同時に、冬哉は飲んでいたお茶を噴き出した。
「冬哉…汚い」
「ゲホッ…、だ、だってお前…」
私は前屈みになって、冬哉が噴き出したお茶をおしぼりで拭いた。
冬哉は大人しくじっとしていた。
「俺…お前にそんな風に思われてたのか…」
ポツリと呟いてから、明らかにシュンとなる冬哉。
「…………、」
め…面倒くさい…!!
と、心の中で叫ぶ。
何なんだろう、この人は。
初めて会った時から考えても…、わからない!彼がわからない!
あぁ、こんな約束しなきゃ良かったかも…。
「……私、あなたが社会人っていうのが信じられない」
落ち込んで、思ったことを口にしてしまった。
「ん?あぁ…、まぁ今年23歳だしね」
社会人なりたてでした……。