Second-4
それから、私の“あの男を避ける”生活が始まった。
男の人が来そうになったらスタッフルームに行って、どうしても人手が足りなくなったら、男の人から離れて仕事する。
もちろん、ピンチの時は茜と桃がガードしてくれる。
だからしばらくの間は、安心してバイトが出来るようになっていた。
でも、一週間が過ぎたある日──。
「お疲れさまでしたーっ!」
バイトが終わり、今日は和聡がいないから走って帰ろうと思いながら裏口のドアを開けると、私は信じられないものを目にしてしまった。
「……よぉ、元気だったか?」
不自然なくらい笑顔の男の人が、向かいの壁に寄りかかりこちらを見ていた。
……ついにここまできたか!ストーカー2号!
「………」
ムッとして男を睨む。
…あ、でも。と、私はふと思った。
制服を脱いだ時点で、彼は“お客さま”じゃない。
ということは…。
「あ!こら、てめぇ!」
無視に限る!!
私は全力でその場から走り出した。
……が、
「…っ、捕まえた!!」
数メートル先で、呆気なく腕を掴まれた。
それはもうガッチリ。
「…何ですか!?」
「ちょっとこっちこい!」
離して!と抵抗するも、男の人には適わなくて…。
結局、裏口から死角になる場所まで連れて行かれた。
「いい加減にしてよ!!」
「…!?」
ブンッと腕を振ると、男の手は思っていたより簡単に外れた。
「……もう、何なのよ、あなた…」
「………」
男を再度睨むと、男は何か考えているような顔をしていた。
「…私もう帰るんで」
「待てよ…!!」
踵を返し歩こうとすると、男の人は手を掴んだ。
でも、さっきみたいに強くはなかった。
「悪かったよ、無理やり連れてきて…。
だから…」
男の人の雰囲気がさっきまでと違う気がして、私は思わず足を止めてしまっていた。
「頼むから…避けないでくれ…」
「……っ!」