Second-3
─────……………
じー…、あ…本当に来てる。
現在、午後6時を過ぎたころ。
調理場の方からこっそり覗くと、確かにあの男の人が来ていた。
今日は2人で来てるみたいで、男の人はこちらを向くように座っている。
「……早く帰ってくれないかなー」
他の人に任せっぱなしも申し訳ない。
何より私自身が働きたい。
「だいたい、桃の勘違いかもしれな──……!?」
私は急いでバッと隠れた。
し…しまったー!!
目が合ってしまった!!
やけに心臓がバクバクする。
バレてない…わけないよね、あれは。
「あちゃー…」
いないフリ、失敗。
これは桃に怒られそうだ…。
私は反省も兼ねて、スタッフルームに逃げた。
─────……………
「先輩っ。あの人帰りましたよ!
……あれ、先輩どうかしました?」
「…え?…あ、いや…」
いけないいけない、ボーッとしてた。
桃に知られたら全然怒られ──
「ってかあの人、何かめちゃくちゃスタッフルーム睨んでたんですけど」
ギクッ!!
ま、まじですか〜…!
「……未音先輩、表出てないですよね?」
「調理場から……覗いてました…」
桃に嘘は通じない。
私は正直に白状した。
「はぁー…。
仕方ない人ですねぇ、先輩…」
桃は大きな溜め息をついた。
そして、私と目線を合わせるように座る。
「いいですか?先輩。
桃も、茜先輩も、未音先輩が心配なんです。
先輩に惹かれる男性は、クセのある人が多いですから」
た…確かに…。
と、変なところで納得する。
「未音先輩が怯えてる姿なんて、もう桃は見たくないんです。
だから…」
桃は俯いた。
あぁ…私って本当にダメだなぁ…。
可愛い後輩に、こんなにも心配を掛けるなんて…。
「うん、ごめん。桃。
私も、出来るだけ気をつけるから」
「…絶対ですよ?」
私と桃は、指切りをして笑いあった。