Ninth-2
「待って未音…!」
「…っ」
そのままグイッと引かれ、気が付けば、私は冬哉の腕の中にいた。
「未音、お願い…。
お願いだから…、逃げないで…」
「…あ」
不意に、あの時の冬哉が頭に浮かんだ。
『悪かったよ、無理やり連れてきて…。
だから…』
まだ名前も知らなくて。
『頼むから…避けないでくれ…』
ストーカーだと思ってた、あの頃の。
「……ふぇ…」
思い出した途端、懐かしくて、温かくて、愛しくて。
色々な想いが一度に溢れてきて、止まっていた涙がまた、流れ出した。
「う…うわぁぁああっ…!冬哉ぁ…!」
「…未音」
しがみついて泣く私を、冬哉は愛おしそうに名前を呼びながら、何も言わず抱きしめてくれた。
─────……………
「…首、大丈夫だったか?」
冬哉は、腫れ物でも触るかのように軽く首筋を撫でた。
「…、くすぐったい…っ。
大丈夫だよ」
誰から聞いたのか知らないけど、冬哉は私が首を絞められたことを知ってるみたいだった。
「ごめんな、未音…。
俺のせいで…」
冬哉は俯き、顔を隠した。
謝らなくていいのに…。
「冬哉のせいじゃないよ。
…私が、弱かっただけ」
大好きなのに、あの人が怖くて避けてしまった。
冬哉のせいなんかじゃない。
「……なぁ、未音。
思ったんだけどさ」
未だ顔を見せないまま、冬哉がポツリと言った。
「俺…。
出会ってから、未音に嫌な思いさせてばかりだよな…」
「え…?」
想像もしなかった言葉に目を見開く。
なに…?何の話…?
「最初はストーカーだと思わせて怖がらせたし…。
あの男だって、俺が未音と仲良くしてたから、怒って襲ったんだろ?
それに、谷川のことだって…」




