Ninth-1
─Ninth Time─
「いらっしゃいませー!」
あれから、何日が経っただろうか。
「チョコブラウニーをお一つですね。
少々お待ちください」
首の痣はすっかり消え、私はいつも通りバイトに励んでいた。
「お待たせしました。
いちごパフェになります」
茜と桃は、何も言わない。
きっと、気になって仕方ないはずなのに。
「未音、交代。休憩しなよっ」
「うん。ありがとう、茜」
いつまでも甘えてちゃいけない。
この先どうするかは、自分で決めなきゃいけない。
でも…
「……ふぅ…」
決められない。
決められずに、毎日をただ、淡々と過ごしている。
「外の空気吸おう…」
私は裏口から外へ出た。
この前、お母さんから電話があった。
仕事はすぐにできないだろうけど、実家から帰るって。
安心した。
また、お母さんと暮らせるんだって。
安心、したのに…。
「……うぅっ…」
どうして…。
「……うっ……ぅあ…」
どうして…、こんなにも寂しいの…。
「冬哉…っ…」
壁にもたれて泣き崩れそうになったその時、
「…未音!」
「…!?」
タイミングよく現れた彼に驚き、涙が引っ込んだ。
「未音…、よかった…。
やっと会えた…」
「とう、や…」
どうしてここに…。
この数日、冬哉も『Dear Heart』に姿を見せなかったのに…。
「…!」
反射的に。
それはもう素早く。
踵を返して店内に戻ろうとした私の手を、冬哉が掴んだ。




