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Eighth-6
「…そろそろ私帰るね。
あ、何か必要なものあったら買ってこようか?」
「ううん。大丈夫」
必要最低限のものはあるし、もう、茜に迷惑をかけるわけにはいかない。
「…そう。じゃあねっ」
「うん。ばいばい、茜」
茜は一瞬悲しそうな顔をしたが、手を振って去っていった。
そして玄関で茜を見送った後、私は力なくソファに倒れた。
大学は…、何とかなる。
包帯は服で隠せる。
バイトも、茜か説明してくれたおかげで、店長が数日休みをくれた。
気掛かりなのは…冬哉。
「……冬哉…」
私、冬哉のこと信じてる。
だけどね…。
「怖くて…仕方ないの…」
これ以上近づくことも、離れることも。
傷つきたくない。
でも冬哉の傍にいたい。
きっと、どちらともは選べない。
「私……どうすれば、いいのかな…」
どうするのが私のため?
どうするのが冬哉のため?
どうするのが…一番いい方法なの?
「わかんない…わかんないよっ…」
私には、わからない。
ごめんね、冬哉。
ごめんね…。
私は涙を袖で拭きながら、鳴り続ける携帯電話の電源を切った。
着信は、冬哉だった。




