Eighth-5
「未音、ちょっと服ずらして」
「うん…」
次の日。
一緒にバイトの休みを取った茜が、家にきてくれた。
今は、首に包帯を巻いてもらっている。
「痕、残っちゃったね」
「……うん」
私の首には手の形と、爪が食い込んだ部分の傷痕が、はっきりと残っていた。
「包帯、目立つからしないほうがよかったかな?」
心配そうに私の顔を覗き込む茜に、私は首を振った。
「痕残ってるの…見るほうが嫌だから…」
「…そっか」
茜は私の頭を撫でて、寄り添うように隣に座った。
「……じゃあ、整理してみよっか。
未音、ゆっくりでいいから、あの女が言ったことを私に教えて」
「…うん。あのね、」
私はちょっとずつ、昨日言われたことを茜に伝えた。
あの人が背中を押したり、植木鉢を落としてきたこと。
私を、バイト先に行かせたくなかったらしいということ。
そしてそれは、冬哉に関係していたこと。
「ふーん…。なるほど…。
あの女が…」
茜が妙に納得したように言った。
「茜…?」
「ん?あ…、いや、桃がね。
駅前のレストランであの女を見た後に、『あの女は絶対性格ねじれてます!』とか言ってたなぁって…」
わぁ…。
当たってる?かも。
「桃の勘って本当によく当たるから、たまに怖くなるよね」
「うん…。
占い師にでもなれるんじゃないかな…?」
「未音、それは言いすぎ」
ふふふ、と、どちらということなく笑い出す。
こうして茜と話す、当たり前のことが、何だかとても温かく感じた。




