Eighth-3
あれから、一週間後くらい。
いつも通り、バイトに向かっていた時。
結局あれは勘違いだったのだと思い込んでいた私は、後ろから来る気配に気づいていなかった。
「ねぇあんた」
「…っ!?」
声がしたと思ったら、急に髪の毛が引っ張られ、私は勢いに負けその場に背中を打ち付けた。
「いったぁ…」
何とか上半身を起こし、振り返ると、仁王立ちして私を睨んでいる女性がいた。
この人、どこかで……あ!!
私はその人が、前に店に来ていたお客さまだとわかった。
私のことをジロジロ見ていた、あのお客さま。
「…あんた、まだあの場所で働いてるの?」
女性は硬い表情を崩すことなくそう言った。
まだ…あの場所で…?
「どういう…意味でしょうか…」
女性の言う『あの場所』とは、『Dear Heart』のことだろう。
まだ、って…どういうこと?
「あら、気づいてなかったの?
怪我でもすれば自然と行かなくなるんじゃないかと思って、親切に背中を押してあげたり、植木鉢まで用意したのに…」
背中を押して……、植木鉢…!?
「あれは…やっぱり偶然なんかじゃ…」
この人が、私をバイトに行かせまいと、わざとしていたってこと…!?
「大げさなことをして私がやったってバレたら困るの。
だからあのくらいで止めておいたんだけど…」
あの程度じゃ足りなかったのかしら。
あははっ、と高笑いをした女性は、また私を睨むように見る。
「…ホント、ムカつく顔」
「ガッ…!?」
女性はしゃがみ込むと、私の首を両手でグッと握りしめた。




