Sixth-2
「嬉しいなぁ…。
君に知っていてもらえるなんて…」
一歩一歩、ゆっくりと歩いてくる。
「……君も知ってたでしょ…?
俺がずーっと、君を見守ってきたこと…」
「…!」
逃げたいのに、足が動かない…!
「それなのに……ちょっと用事で目を離してた隙に…」
男の人の雰囲気が変わっていく。
さっきまでとは違う…、暗く、歪んだような雰囲気。
「……君に…、変な虫がついてた…!!」
「…いっ…!?」
空いている右手を掴まれ、壁に叩きつけられる。
左手に持っていた袋は落ち、潰れた。
「ねぇ…アイツは誰…?
何で君のこと……名前で呼んでたわけ…?」
「……ゃ…」
「ねぇ…何で…?」
男の人に両腕を掴まれ、顔を逸らすことしかできない。
息が当たって気持ち悪い。
「……でも、仕方ないよね…。
そういう仕事なんだから…」
何を考えているのかわからないけど、男の人は私の腕を放した。
「仕方、ないよね…。
君は誰にでも平等に笑顔を振りまくから…。
勘違いするヤツがいたって…仕方ないんだ…」
そう言って男の人は、また懐に手を入れた。
「だからね、今日は…」
その手に握られているものが、ギラッと鋭く光る。
「君を、俺のものだけにする為にきたんだ…」
「…!!」
怖くて、声が出ない。
この人…私を殺す気で…。
「痛くないように、一瞬で終わらせるから…」
「……ぃ…ゃ…」
怖い…怖い怖い怖い…!!
その刃が目の前まで迫り目を瞑った時、ふと、彼の顔が頭に浮かんだ。
『未音っ』
私の名前を、いつも幸せそうに呼ぶ、彼の笑顔が。
「…冬哉ぁ!!!!」
「ガッ…!?」
「…?」
すぐそこで、バキッという音が聞こえた。




