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Fifth-3
「桃、緊急事態発生よ。
今日は和聡が休みだから……、上杉さん呼んできて」
「了解ですっ」
「店長にも説明を……あぁでも、それじゃお店の方が…」
「店の方は俺に任せろ」
茜がどうしようかと悩んでいると、表の方から男の人がきた。
彼は山名泰樹。
一つ年上の、クールなバイト仲間。
「今は客が少ない。
佐川がいれば何とかなる」
「お願いします、泰樹さん。
未音。大丈夫…大丈夫だからね…」
茜の言葉を、どこか遠くにいるように感じていた。
しばらくすると、冬哉が来て、茜と何か話をしていた。
話は全然聞いてなかったけど、冬哉に抱えられて車に乗せられたから、たぶん、送ってくれるんだと思う。
「これ、未音の友達から渡された。
中身は服らしいから、未音が持ってて」
冬哉は私の膝の上に紙袋を置いて、車を運転し始めた。
車の中は、冬哉の匂いでいっぱいで。
すごく…安心した。
─────……………
「なぁ…、お前、1人で大丈夫なんだろうな?」
「うん…。大丈夫…」
帰り道、冬哉が何も聞かなかったおかげで、少しだけ気分が落ち着いた。
「何かあったら電話しろよ?」
「うん…」
「じゃあ、またな」
冬哉は私の頭を撫でて帰っていった。
私は、何も考えずにベッドに潜り込んだ。




