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Dear Heart  作者: 藍原未羽
24/57

Fifth-2




「未音ー」



名前を呼ばれ振り向くと、お店に来ていた冬哉が手を振っていた。



「…もう、名前で呼ばないでよっ」


「いいじゃん、別に」



冬哉は、特に悪びれることなくメニューを開く。



「今日のオススメは?」


「頼む気ないくせに何聞いてるのよ。

どうせいつものコーヒーでしょ」


「さすが未音」



冬哉は嬉しそうに笑うと「頼むわ」と言った。


私はそれを伝えに行こうとしたけど…



「…!?」



視線を感じて足を止めてしまった。


見ると、こちらをジッと見ている例の男性。


そして、気づいてしまった。



ドクンッ…



目の下の、泣きボクロに。



「未音…?」


「…ご、ごめん冬哉。

コーヒー…、他の人に頼むからっ…。

私、ちょっと…」


「あ!おい!」



私は冬哉の声にも振り返らず、スタッフルームに逃げた。


胸の動機を抑えて。



─────……………



「先輩大丈夫ですかー?

あの人…上杉さんでしたっけ?

心配してましたよー」



桃が、パタパタとうちわで扇いでくれるけど、



「……っ」



ドクンッ…ドクンッ…ドクンッ…と、胸の動機は治まらなかった。



「未音、あの気持ち悪い客帰ったけど……って、あんたどうしたの!?」



私の様子を見た茜が、慌てたように駆け寄ってきた。



「あっ…茜…、あの人…っ」



言おうとすることが伝えられない。



「誰!?」



茜は、上手く誘導してくれる。



「あのっ……帽子と…マスクの、人…」


「あの気持ち悪い客がどうかした!?」


「……、ストーカーの…っ、人…!」


「「…!!」」



茜と桃は、感づいたように顔を強ばらせた。



「泣きボクロが、あったの?」



茜の問いに、頷く。


あの人は、前も同じような格好をしていて、顔がよくわからなかった。


だけど、彼の特徴を、私は一つだけ知っていた。


それが…目の下の泣きボクロ。






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