Fourth-8
ゆっくりと振り返ると、そこには、息を切らした冬哉が立っていた。
「とう…や…」
「では、こちらへどうぞ」
冬哉はなにも言わず、私の腕を引っ張っていった。
─────……………
係員さんが通してくれた部屋で、私は冬哉に頭を拭いてもらっていた。
「………」
冬哉も、私も、さっきから何も喋ってなかった。
怒って……るのかな…。
「……冬哉…」
「………」
声をかけても無反応。
やっぱり怒ってるんだ…。
「……、ごめんなさい、私…」
「風邪引いたらどうすんだよ…!!」
「…!!」
冬哉は急に頭を拭くのを止め、私を後ろから抱きしめた。
観覧車の時とは違い、痛いくらいにぎゅぅぅっと抱きしめられる。
「冬哉……」
でも、さっきの一言で気づいた。
冬哉はただ…心配してくれてたんだ、って。
「………」
冬哉の腕が少し緩まったから、私は後ろを向いた。
冬哉の泣きそうな顔を見た時、自分がどれだけ心配をかけていたのかがわかった。
「冬哉っ…!」
次の瞬間、私は自分から冬哉に抱きついていた。
「ごめんなさいっ……ごめんなさい、ごめんなさい…!」
ひたすら謝る私を、冬哉は優しく抱きしめ返してくれる。
もう、痛くはなかった。
─────……………
私が部屋に戻り、バスタオルを羽織って戻るまで、冬哉は玄関で待っていた。
「じゃあ、すぐにシャワー浴びて、温かくして寝ろよ」
「うん」
「夏だからって舐めてたら、マジで風邪引くかんな」
「わかってる。気をつけるから…」
「じゃあ」
「あっ…冬哉」
帰ろうと玄関のドアに手をかけた冬哉を、私は呼び止めた。
「今日は…ありがとう」
私のお礼に、冬哉は振り返ってフッと笑い、近づいてきた。
そして、
ちゅっ
「…!?」
おでこにキスされた。
「おやすみ、未音」
「お、おやすみっ…」
パタンとドアが閉まり、足音は去っていったけど、私はしばらくその場から動けなかった。




