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Dear Heart  作者: 藍原未羽
18/57

Fourth-4




冬哉の姿を見ると安心して、涙が出そうになった。



「だ、だって……冬哉…、先に行くしっ…」



泣きそうになっている私を見て、冬哉はガシガシと頭を掻く。



「……っ、悪かったよ。

先を歩いてた方がお前が安心すると思って……」



冬哉は近づいて、私に手を差し伸べた。



「…もう少しで出口だから。

ほら、一緒に行こう」


「…うん」



私はその手を取って、そのまま冬哉の腕にしがみつく。


冬哉の言う通り、本当にあと少しの距離で出口だった。


もうちょっと頑張れば良かったかも…なんて思った。



─────……………



「じゃあ、ここで待ってろよ。

すぐ帰るから」



私を気遣って、冬哉は飲み物を買いに行く。


私は、ボーッと景色を眺めていた。


すると、目の端に、1人の女の子が木の前に立ち尽くしている姿が映った。


5歳くらいの、小さな女の子。



「どうしたの?」



近づいて聞いてみると、女の子は木を指差した。



「まゆのフウセンが…」



見上げると、確かに木の枝に風船が引っかかっている。


…あ、あれなら私でも取れるかも!



「…っ、えい!」



かなり低いジャンプだったけど、何とか紐に手が届いた。



「はい」


「ありがとう!おねえちゃん」



まゆちゃんは嬉しそうにして、トイレの方へ向かった。


すると、ちょうど女性が中から出てきて、まゆちゃんと手を繋いで歩いていった。


なるほど…お母さんを待ってたのか…。



「未音っ」


「…あ、冬哉」



振り返ると、駆け寄ってくる冬哉がいた。



「ごめんね、冬哉…。今…」


「いや、いいよ。それよりも」



さっきの場所に居なかったことを謝ろうとしたけど遮られ、スポーツドリンクを渡される。


そして、頭を撫でられた。



「……?」



まるで、「えらい、えらい」って言われてるみたいだった。



「な、未音。

あれ乗りたくない?」



冬哉の目線の先には、観覧車。


私は黙ったままコクンと頷いた。






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