Other Part1-2
気がつけば、俺は女の子の手を掴んでいた。
…や、やべぇ!何て言おう…!
「新しいおしぼり、くれない?」
ついでに苦し紛れにスマイル。
女の子はさっさと行ってしまった。
「…冬哉」
「何だよ祥吾」
「俺、やっぱりお前がわかんねぇわ」
俺だってわかんねぇよ!
コーヒーを飲んで、とりあえず自分を落ち着かせた。
次の日、俺は『Dear Heart』に1人で行った。
名前を聞いて、大丈夫そうならアドレスも聞こうかと思ったけど、結局どっちもダメだった。
「人を呼ぶ」 と言われた時は本気でビビった。
だから、その次の日から、少しずつアピールしていこうと思ったんだけど…。
「………」
ササッと去っていく彼女の背中を見ながら頭を抱える。
ヤバいこれは…、あからさまに避けられてる…!!
事実を知った瞬間、ショックでへこむと同時に、話もさせてくれないのかとイラつく。
……いや、落ち着け俺。あれはたぶん、普通の反応なんだ。
と、自分で自分をなだめていた。
一週間後。
ずっとそんな毎日で悩んでいた俺は、遂に行動を起こした。
行動っつっても、単なる待ち伏せだけど。
あの時は本気で嫌われたかと思った。
祥吾いわく喜怒哀楽が激しい俺は、誰に対してもそうらしいから、きっと、彼女も困らせてる。
諦めることも片隅で考えていると、彼女の方から後日会うことを約束してくれた。
飛び上がるほど嬉しかった。
内心ガッツポーズしてた。
それから、彼女にだけは嫌われたくないと、そう…思った。