Other Part1-1
─Toya side─
「冬哉…お前最近キモイな」
「あ?」
隣の席から発せられた声に反応し、眉間に皺が寄る。
「うるせぇよ」
そして、やりかけのデスクワークに移る。
「お前って昔っから性格掴めないやつだったけど、ここ一・二週間酷かったな」
「別に性格悪いとかじゃなくて…、何かこう…難しいっつーの?」
イライラ…
「まぁ、俺は慣れてるけど」
「初めてあったヤツとか、絶対一回は引くよなぁ!」
イライライライラ…
「つーか、お前が今まで交際上手くいかなかったのって、その性格のせいだよな!」
ブチッ
「あー!!うるせぇ!!
仕事させろ、祥吾!!」
さっきから隣で喋り続けているのは、俺の高校時代からの親友である、久里浜祥吾。
何かと俺に構ってくる、ウザいけどいいやつ。
「いいじゃん、今昼休みなんだし。
…それより冬哉、あの喫茶店の女の子、どうなったわけ?」
『喫茶店の女の子』
その言葉に反応し、ここ何週間か前の日を思い出す──。
……────……
あの日俺は、祥吾に連れられ『Dear Heart』という喫茶店に行った。
何で男2人で来なきゃいけないんだと聞くと、彼女とのデートの下見だとかふざけたことを言いやがったから、正直機嫌が悪かった。
でも、それは一瞬で吹き飛んだんだ。
「いらっしゃいませー!」
めちゃくちゃ可愛い笑顔で挨拶をしている、アルバイトの女の子を見つけたから。
でも、何故だかすぐにいなくなってしまった。
「なぁ、冬哉。お前何頼む?」
「コーヒー…」
祥吾に答えながらも、俺はあの子の笑顔が頭から離れなかった。
これが一目惚れってやつかなって、柄にもなく思ってしまった。
しばらくすると、店員がコーヒーを持ってきた。
自分だと答えた後、店員を見て俺は固まってしまった。
持ってきてくれたのは、あの笑顔が可愛い女の子だった。