Third-3
─────……………
「未音、起きて」
「ん…?」
夕方。
ゲーセンで遊びまくった後、最後に行きたい所があるからと車に乗せられ、ボーッとしているうちに寝ていたみたいだ。
冬哉に起こされ外へ出ると、そこは丘のような場所だった。
「こっち」
「……!」
冬哉についていくと、ちょうど沈んでいく夕日が見えた。
「うわぁ…!綺麗…」
真っ赤な夕日が少しずつ、少しずつ沈む。
「な?すげーだろ」
何だろう…、見ているだけで胸がジンとなる景色を見たのは、これが初めてかもしれない。
「………」
「……なぁ、よかったら──」
「すごく綺麗!
冬哉、また連れてきてねっ!」
気がつけば、そんな言葉が口から出ていた。
「……あぁ」
冬哉はただ、目を細くして笑っていた。
─────……………
「送ってくれてありがとう。
…あと、ぬいぐるみも」
車から出て、私はぬいぐるみをギュッと抱きしめた。
「……未音」
「…?」
冬哉が顔を近づける。
何かと思い私も近づくと…
「そうしてるお前、すっげぇ可愛い」
恥ずかしげもなくそんなことを言った。
「………っ!!」
「…じゃーな」
驚きで口をポカンと開けたままの私を置いて、冬哉の車は去っていった。
思い起こせば、あの時からもう、冬哉に対して警戒はしてなかったのかもしれない。