Third-2
「なぁ、ゲーセン行こう」
店を出ると、冬哉が唐突にそんなことを言い出した。
「え?でも私、お出かけ用の服じゃないし…」
朝のバイトが終わって裏口から出ると、あの日と同じように冬哉がいて、そのまま昼食ということでレストランに来たから、特にオシャレをしてなかった。
どうせ遊ぶならオシャレしたいのに。
「いーんだよ。ほら行こうぜ」
「あっ」
冬哉は私の手を引いて、レストランに来た時と同じように、車の助手席に乗せてくれた。
─────……………
「こいこい…そのまま……よっしゃ取れた!」
「すごっ」
冬哉はUFOキャッチャーが上手だった。
100%ではないけど、4回やって3回は取っている。
「ほら」
さっき取れた、大きなウサギのぬいぐるみを渡される。
か、可愛い…。
「やるよ。プレゼント」
「え、でも…」
さっき取れたお菓子も、冬哉は半分くれた。
私が取ったわけじゃないのに。
「いーの。俺いらないし。
…あ、いいもん見っけ」
また違うUFOキャッチャーに向かっていく冬哉を見ながら、私は考え事をしていた。
ストーカーまがいの事をしていたから、その気持ちには何となく気づいてるけど…。
今の冬哉は、何だか私よりも子どもみたいにはしゃいでて…。
私のご機嫌取りとか、そんな風には見えない。
何か…、変な気分…。
「ん」
「わっ…」
急に目の前に現れる、四つ葉の形をしたストラップ。
「あそこのUFOキャッチャーで取れた」
そして、それを私の手のひらの上に乗せる。
ということは、またくれるということなんだろう。
「俺とおそろい。嬉しい?」
ストラップを見せながら意地悪そうに笑う冬哉を見て、つい笑みがこぼれる。
「嬉しくないけど、貰っとく。
……ありがとう」
冬哉は怒ったような、照れたような顔をしていた。