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郁人少年の恋愛奮闘記  作者: ラゼル
スタートライン到達まで
2/17

年末年始はてんてこ舞いです。

やっとヒロイン紗雪の登場です。

 そしてスタジオ入りし、関係者に挨拶を済ませて今は控え室。


土浦(つちうら)さんは他のタレントのマネも平行して行っているので高校生でマネージャー見習いである(さとし)さんに後は任せて出て行って今この部屋は男2人である。


「紗雪は今日はお正月特番のトーク番組の生の後に、こっちに合流だっけか……?

お前ら年末年始鬼スケジュールだな」


「えぇ、まあ正月スペシャルで俺らが出たドラマの番宣一緒にしなきゃですしね」

最後には寝不足でお互いにグロッキーになるのも毎年のことだ。もう慣れた。……嫌な慣れだな。


「まだ、中学生なのにな」


「そういう(さとし)さんは高校生」でマネージャーじゃないですか。普通じゃないですよ。


「……俺はいいんだよ、俺は」

……そうですね。聡さんですもんね。と冬休みの宿題を机の上でこなしつつも会話を続けていく。


すると、コンコンとドアを叩く音がしてすぐに馴染みのある声がする。

「入ってもいいー? 聡さん。紗雪(さゆき)です」

「あぁ、どうぞ」


「ありがとうございます。それと、おはよーございます。郁人(いくと)くん、(さとし)さん

今日はよろしくお願いします」

と入ってきて一礼。昔から仕事中はある程度スイッチを切り替えるために他人行儀になる紗雪(さゆき)である。


「……相変わらず、真面目だな紗雪。実の兄なんだし楽にしてもいいぞ。控え室の中だし」

「そういうわけにはいかないよ、兄さん。仕事だし」

「まぁ、いいけどな」

 こういうところは頑固であることを分かっているのだろう聡さんは手を引く。


まぁ悪いことではないしなぁ……。そう、基本的にこの2人はドライな兄弟関係である。

ゆえに小さい頃俺は「あら、お兄さん? 仲良しねぇ」という扱いを受けることしばしばなのであった。


「あ、そうだ。お弁当もらってきた。スタッフさんが2人とも食べてないだろうからって。食べよ?」

「あぁ、さんきゅ」

と聡さんが受け取り俺に渡してくれる。そか、もうそんな時間だよな。


「食べ終わったら着換えないとだねー。」

「着物だからいろんな意味で大変だよなー」

「まぁ、慣れたもんだよね。もう既に」

 そうそう、よく着せられるんだよな。事あるごとに。しかも年始企画なら尚更だよな。


「お前ら和服多いもんなぁ。まぁデビューもそんなんだったしな」

 ――そう、俺らのデビューというかCMはそんな感じで。セットで売り出されたんだよなぁ。

まぁ俺は紗雪のついでだったんだけどな最初は……。


 テレビ栄えしやすいように普通に神社にお参りには少し派手な着物を紗雪は着る。今回は赤か。


普段あいつは着物は着ないが、着る時はお母さん若い頃のおさがりだ。昔の柄のほうが悪く言えば地味。よく言えば控えめな感じなのが多い。最近の柄は派手なんだよなぁ……。


 まぁ、似合えば何でもいーけど。逆に男の俺はあんまり派手にはならないが毎度趣向をこらし細かい所をさりげなく変えてくれる。でもテレビじゃわっかんないと思うけどなぁ。まぁスタイリストさんの心意気だ。あり難く受け取っておこう。

 


「大まかな流れは入ってるなー? お前ら」

と聡さんに最終確認される。年末年始は忙しいのでその少し前にリハはしているので入っているといえば入っているのだが、そこは生放送ノリでやっちまえとかしたがる人もいるから心構えは必要だ。本当に、そろそろアレも聞かれるだろうしなぁ……。はぁ、面倒だ。


「大丈夫です。下手なことは言わず、しっかりイメージ守っていきます」

と勇ましい紗雪。あぁ、昔は泣き虫だったのに今ではこんなに強くなっちまって……。


「俺も頑張るわ」と俺もその宣言に便乗したのである。


「ん、よし頑張れよ」とポスンと背中を押される。こういう年上の甘やかしスキルというか包容力というか。こういうときやっぱりこの人にはまだまだ敵わないな、と思うんだよなぁ。




最新話に目を通してくださった方々ありがとうございます。

感想・誤字報告も気が向いたらよろしくお願いします。

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