クラゲ
ゆらゆら揺れている一匹のクラゲがいました。
クラゲは海の中をゆったりと泳いでいます。
周りが忙しそうにしていてもクラゲはゆっくり泳ぎ続けるだけ。
そんなクラゲはいつもひとりぼっちで同じクラゲに出会ったことはありまえん。
けれど、寂しさは感じませんでした。
だって、友達がいるからです。
ゆらゆらと泳いでいると一匹のクマノミに声をかけられました。
「やぁ、クラゲさん。今日ものんびりしているね」
クラゲはそっと手をあげて挨拶を返します。
「こんにちは。今日も元気ね」
「うんっ! 元気が一番だからね!」
オレンジ色の体でクラゲの周りをぐるぐる泳いでいます。
なんとも対照的な二匹です。
しばらく話していると、ぐぐぅ~っとお腹が鳴りました。
「ごはんを食べに行くんだった! クラゲさんまたね!」
「ええ、また」
そうしてまたゆらゆらとクラゲは泳ぎます。
すると今度は同じぐらいのんびりと泳いでいるカメに出会いました。
「あら、カメさんこんにちは」
「こんにちは。クラゲさんはひとりかい?」
「ええ、そうよ」
あいさつをして、それから、カメは東を向いて言いました。
「あっちの方にたくさんのクラゲさんがいたよ」
「そうなの? なら、行ってみようかしら」
クラゲは東に向かうことにしました。
ゆらゆらとゆっくり泳いでいると色々な魚を見かけます。
楽しそうに仲間と話していたり、一緒に泳いでいたり、なんだか羨ましいとクラゲは思うのでした。
東をどこまでも泳いでいきますが、他のクラゲはどこにもいません。
「どこにもいないわね……。また戻ろうかしら」
来た道を戻ろうとした時です。
またカメに出会いました。
「やあ、クラゲさん。他のクラゲには……会えていないみたいだね。ごめんよ」
「いいのよ。またいつか会える時が来るわ」
謝るカメでしたが、クラゲはあまり気にした様子はありません。
申し訳なさそうな顔でカメはクラゲに一つの提案をしました。
「クラゲさん。よかったら、ボクも一緒に探すよ」
「あら、いいの?」
「うん!ほら、後ろに捕まって」
一緒に他のクラゲを探すことになりました。
クラゲはカメの背に掴まります。
するとカメはゆっくりと泳ぎはじめ、少しずつ早く泳いでいくのでした。
クラゲと同じぐらいゆっくり泳いでいるのに今日はがんばって泳いでくれているみたいです。
気づけば、あっという間のうちにクラゲが最初にいた場所に戻って来ることができました。
「カメさん早いのね」
「がんばってるからね。それじゃ、
いろんなところを探しに行こう」
西へ北へ、そして南へと泳いで回ります。
南へカメに連れられていくと、ゆらゆらと揺れるクラゲが一匹見えました。
一匹だけではありません。
たくさんのクラゲがゆっくりと泳いでいます。
「やっと見つけられたね」
「ええ、仲間がこんなにいるなんて……。連れてきてくれてありがとう」
クラゲはたくさんの仲間の元へ泳いでいきました。
すると歓迎するように手を伸ばしてくれます。
「こんにちは」
「こんにちはー」
「はじめてみるクラゲだー」
のんびりとした調子で一匹一匹は挨拶を返してくれます。
すると一匹のクラゲは言いました。
「きみもぼくたちといっしょにくらすー?」
「……少し考えさせて」
「わかったー。もっとおはなししよー」
クラゲは一緒に暮らすか悩みました。
せっかく出会えた仲間たちと暮らしたいという思いはあります。
けれども、友達のクマノミのことを考えてしまうのでした。
クラゲたちとお話するのは楽しく心地のいいものでした。
そうして悩みながら、クラゲは答えを決めます。
たくさんのクラゲに出会うことはできましたが、クラゲは元の場所で暮らすことにしました。
だって、ここには大切な友達がいるのですから。
おしまい。
お読み頂きありがとうございます!
評価やコメントを頂けると嬉しいです!




