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5話:案内人

「お二人ともこっちです!」


 僕達はアルシアに案内され進んで行く。

 ガヤガヤと話声などが聞こえてきて、街の方に近づいていることが分かる。


「改めまして、ようこそガレア王国へ!」


 凄い…最初についた時はアルシアを追っていて周りを見ていなかったが、見渡すと何処もかしこも獣人だらけ。

 本当に獣人しか住んでいないんだな。


「どうですか!獣人だらけの国なんて初めてでしょう!」


 アルシアが笑顔で僕達に問いかけてくる。

 本で知っていても実際に見るのとはやはり違う感動が得られる。


「良かったな!最初に来るのはここだって言ってたもんなトラン」

「そうなんですか!?それならより気合いを入れて案内します!」


 ビシッとアルシアが敬礼する。

 アルシアはとても明るく、こっちまで笑顔にしてくれる。


「ところで、お二人の事はなんと呼べば?」


 そう言えば僕達はまだ名乗っていなかった。


「僕はトラン・メロニコスって言うんだよろしく。そしてこっちが」

「アデラ・ニルマーンだ!よろしくな!!」


 こうして他の国で知り合った人に名乗るのも一つの夢だったんだよな~


「トランさんに、アデラさんですね!」

「さん付けなんて畏まる事もないよ」

「あぁどうせだったら敬語も無しで良いぜ」


 案内してもらうって言っても友達と街を練り歩くような感じになるだろうし、堅苦しい事は無しで行きたい。


「それならお言葉に甘えて、私はアルシア!改めてよろしく!」


 アルシアは太陽のような笑顔で挨拶をする。

 僕達も負けじと笑顔で答える。


「よろしくな!アルシア!!」

「よろしく」


 そうして僕達はアルシアと色々な話をしながら案内をしてもらう。

 特に彼女は両親の話になるととても明るく話してくれる。

 よっぽど両親の事が好きなのだろう、そんな大好きな両親がアルシアとまた一緒に暮らせるのだから僕から魔石を受け取った時、心の底から嬉しかったのだろうな。

 やはり魔石をあげた僕の判断は間違えていなかった!

 僕は少しニヤけているとアデラが声をかけてくる。


「どうしたトラン、ちょっと気持ち悪いぞ」

「なっ…ニヤけてはいたけど気持ち悪いって言うのは酷いじゃないか!」


 僕は顔を真っ赤にして怒る。

 いくらなんでも気持ち悪いなんて言うこと無いじゃないか。


「ははっ、悪かったって。てかトラン顔めっちゃ真っ赤じゃねぇか」


 アデラは笑いながら僕をからかってくる。

 この野郎、後でちょっとした罰を下してやろうか。


「なんだか火が出そうなくらいだね」

「お前アルシアにまでからかわれてんじゃねぇか」


 あははと二人とも笑いながら僕にそう言ってくる。


「酷いじゃないか二人とも!」


 まさかアルシアにまでからかわれる事になるとは思っていなかった。

 そんなこんなで僕達三人は街を見渡して歩いていくが、所々崩壊している家などが目に入る。


「災害があった事は知っていたけど、まだ影響が残ってるんだね」

「うん、私はまだ子供の時だったんだけどあの災害は本当に酷いものだったよ…」


 アルシアは少し俯きながら話をする。

 災害の時の事を口に出すのは軽率だったか…


「ごめん…いくらなんでも軽率だったね」

「ううん、もう何年も前の事なんだから気にしないで!」


 アルシアは明るくそう答えてくれる。

 なんて優しい子なんだろう。


「そうだぞ~、軽率だぞ~」

「うっさい!」


 アデラが隣で僕をからかってくる。

 なんて酷い奴なんだろう。


「あははっ二人とも本当に仲良しなんだね!」


 アルシアは笑顔で話し掛けてくる。

 でも少し寂しそうな笑顔に見えた。


「まぁな!八年前からの相棒よ!」

「腐れ縁の間違いでしょ」

「なんだと!」


 僕にやってきたようにアデラをからかう。

 僕をからかってきた罰だ。


「いいな…」


 アルシアがボソッと何かを呟く。

 僕にはその言葉は聞こえていなかった、アデラは…何か言ったことすら聞こえていない様子だ。

 一体何を言ったのだろう?その時、ガヤガヤと人の声が大きくなっていく。


「何だ何だ?」


 アデラが遠くを見ようと目を細める。

 どんどんと人が走って来るのが見え、何を叫んでいるのか聴こえてくる。


「魔獣だ!魔獣の群れが出たぞ!!」


 人が僕達を通り抜けて走っていく。

 どうやら壁の亀裂を壊し侵入してきたようだ。

 にしてもそんな警備が甘いことなんてあるのか普通?


「魔獣の群れって何で…」


 アルシアが不安そうな顔をする。

 僕は何とか安心させようとアルシアに話し掛ける。


「大丈夫だよアルシア、僕達が何とかして見せるから」


 とは言ったものの、何とかなるかも知れないが問題は何体いるかだ。


「行くぞトラン!」

「あ、おい!」


 アデラが魔獣が出た場所に走っていく。

 アイツ、後先考えず突っ走りやがって!


「アルシアも速く逃げて!」

「いや、私も行く!魔獣にこの国が破壊されるなんて冗談じゃない!」


 拳を強く握り締める彼女は力強く答えた。

 彼女は僕が思っていたよりも強いんだな。


「よし、なら急ごう」


 僕達は全速力で彼の元に急ぐ。


「アデラ!お前勝手に行きやがって!」

「悪かった、でもよこれは言い合いしてる場合か?」


 アデラは目の前の魔獣の群れに視線を移す。

 僕は上から数を確認するため魔術を発動させる。


「トランの体が光だした!?」

「まぁ見てろって、アルシア!」


《"飛び上がる体(クァルポス)"》


 僕は高く飛び上がる。

 て言うか何でアデラが得意気なんだ?とにかく敵の数を確認する。

 この数なら何とかなるかも知れない。


「数は(およ)そ三十程、言い合いしてる場合の数だ!」

「そうか、ならちゃっちゃと終わらせて喧嘩と行くか!」

「喧嘩はお断りだ!」


 僕達はそんなことを話ながら魔獣との戦闘に向けて気合いを入れる。


「「よし、行くぞ!」」

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