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15話:新たな旅に向けて

「それで、どうするんだ?」


 アデラは期待の眼差しを向け問いかけてくる。

 そこまで期待されると少し気が引けてしまうものだ。

 僕はコホンっと咳払いをする。


「仕切り直して、話し始めるよ」


 二人はより一層真剣な顔になり僕の目を真っ直ぐに見てくる。


「アデラはともかくアルシアは魔術会って知ってる?」

「ごめん分からない」


 やっぱり、知っているのならばこんな事態にはならなかった筈だ。


「おいトラン」

「何アデラ?」


 何か思うところがあったのだろうか?


「ともかくとは何だ、ともかくとは」

「え、アデラは魔術会の事は知ってるでしょ?」


 あれ、国王の息子だったし知ってると思ってたんだけど…

 さてはこいつそう言うことほぼ全部サボってやがったな!


「な、なんだよその目」

「いや別に」


 僕はジトー…とした目で彼を見つめる。

 まぁいっかどうせ説明することになるんだし。


「それじゃ魔術会について説明するね」

「「はい、先生!!」」


 誰が先生だ!悪い気はしないけども。

 僕はコホンッと咳払いをし説明を始めた。


「魔術会って言うのは……」


 ・・・魔術会、それは魔力を持つものが集う場所。

 そしてこの世界の魔力を持つことでいじめや、虐待を受ける人達を保護し、育てる場所でもある。

 まぁ言わば児童養護施設(じどうようごしせつ)と教会が混ざりあったようなものだ。


「そんなものがあったんだ…」

「そ。元々この国に魔術はなかったから国民には知らされなかったんだろう」


 と言ってもアルシアやその両親に知らせていない辺り国王がそうさせなかったんだろうけど。

 そう話しているとふとアデラの方に目をやる。

 アデラはポカーンとした顔で突っ立っていた。


「アデラ?どうした、おーい」


 顔の前で手を振ったり行動をしてみる。


「いや、そんなんあるんだなって思ってよ」


 マジで知らなかったのかよ!?さすがに名前くらいは知ってるもんだと思ってたんだけど…ここまで来ると何も感じなくなってきたよ。


「まいっか…とにかくここみたいに魔術が貴重な国で、魔術を扱える人がいたら魔術会への報告は義務付けられてるんだよ」

「でもここの国王はそれを破ってるんだろ?そんじゃそいつ」


 そう、ここの国王はそれを破っている。

 それに恐らくこれでアルシアの存在が(おおやけ)になるだろう、魔術会が本格的に動き始めない筈がない。

 そうなれば国王の罪も魔術会に知られることになり、アルシアの罪も消えることは無くとも少しは軽く出来るだろう。


「てこたぁ、アルシアが死罪にならなくなるってことか!?」

「そこまでは分からないけどきっとそうなるよ」


 僕がそう言うと二人の目がまたキラキラと輝き相当喜んでいることが分かる。

 アデラに関してはもうその場で暴れ狂ってる…ブレイクダンスでも始めるのか?ってくらいだ。


「魔術会には僕から話をしておくよ、何せ家は代々魔術師の家系だからその辺とも繋がりがあるんだ」


 旅に出るにあたってあまりこう言った親のコネみたいなのを使いたくなかったのだが、今回は仕方ない。

 これっきりにしておこうと僕は心の中で誓った。

 魔術会の人と話をしてからはトントン拍子に事が進んでいった。

 ガレア王国の国王、その関係者やアルシア、アルシアの家族の拉致に関係していた者には、それはそれはキツい罰が下されたそうな。

 例えば国王は無期懲役、その他諸々の罰を課せられたそうな…この辺はあまり詳しい事は話せないようなのだが、まぁ大体どんな罪なのかは察しがつく。


「そう言えば私の罪はどうなったのかな?」

「その辺は魔術会からこの報告書が渡されてるよ、読んでみて」


 アルシアの罪は最終的に死罪になることは無かったのだが、かなりの被害を出してしまったのも事実なので家等の修復費用を支払うこととなっている。

 流石にとんでもない額の為多額の借金と言う形で魔術会に支払うことになり片付いた。

 何はともあれこれでこれで一通りの事件は片付いたのだ、ようやく新しい旅を始めることが出きるよ。


・・・


・・・・


・・・・・


「これにて一件落着だな、二人とも!」

「何でアデラが一番得意気なんだよ」


 少年達は少し笑いながら話す。

 二人が次の旅に向けて私の準備を待ちながらこんな話をして笑いあう。

 そろそろ準備をし終える所だ。


「アルシアーー、準備出来たー?」

「早く行こうぜ!!」


 アデラが大きく手を振る。

 二人と旅が出きる、これから見る景色を想像するとワクワクが止まらない。


「もうすぐ行くよー!」


 私はドアノブに手を置き振り返る。

 両親と暮らした家をじっくりと見て、小さく息を吸う。


「行ってきます」


 そう言うと私は扉を開き、隣に立ち一緒に歩き始める。

 改めて私には友達がいることを嬉しく思い、歩き始めるのだった。

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