表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SKULL MAN  作者: 華街
1/2

惨状は炎に抱かれたまま

 一つ、火種が落ちる。一つ、煙が上がる。

 煙は周囲を包み込み、視界を遮る。

 パキパキ、となにかが燃える音がした。

 煙の奥から赤い光が発する。

 その赤い光は家具に、壁に、伝染する。

 周囲の人形のものに、感染する。

 悪臭。

 急いで部屋を駆け出した。

 走って走って、逃げた。

 逃げて逃げて、逃げ続けた。

 靴を履きもせず裸足で廊下を走る。

 炎が俺を包みこまんと魔の手を伸ばす。

 轟音に、悲鳴に背を向け、ただ逃げた。

 団地を抜けても走り続けた。

 足裏が血に塗れ、石の感触が直に伝わる。

 いつの間にか躓いて、転がり回り僕は逆さまにあの景色を見た。

 あの景色が目を離してくれなくて、倒れたまま見つめていた。

 俺の胸を焦がしたままのあの炎は。

 俺の瞳に映ったあの惨状は。

 俺の脳に焼き付いて今もなくならないあの十字架は。

 未だ俺を恨んで恨んで、恨み続けている。

 焼いて焼いて、死ぬまで焼き続けている。

 燃え尽きるまで、消えてくれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ぉ…ぉぃ…おぃ」


 声がする。どこか、聞き慣れた声だ。

 誰かが俺を呼んでいる。体が揺らぐ。

 …体が揺らされている?


「おい起きろ!!」

「おわっ!耳元で急に叫ぶなよ」


 肩を強く掴まれて、耳元で叫ばられる。

 あまりの不快さに眠気が吹き飛ぶ。


「あまりの不快さって言うなよ…」

「冗談」


 今は放課後。

 教室が斜陽に照らされ、夕焼け色に染まる。

 木の板で作られた温かみのある床に、窓のシルエットが映されている。

 黒板には「明日卒業式!!」と白チョークでデカデカと書かれていた。


「大げさだよなぁ、俺等はただ見てるだけってのに」

「なんで在校生も参加するんだろうな」

「ほんとにそう!誰だよこの風習考えたやつ!」


 隣の親友は悪態をつきながら、おもむろにポケットに手をいれる。

 こいつの名前は『張分(ばりわれ) 瀬人(らいと)』孤児院からの付き合いがある幼馴染だ。

 黒髪でサラサラの髪に少しクセをつけたセンターパート。前髪の右側に黄色のメッシュがある。

 耳にはピアスの穴を開けている。先生たちにはまだバレてはいないそうだが、はたしていつまでもつか。

 おちゃらけでクラスのムードメーカー。

 腹立つところはあるが憎めないやつである。


「どうした、そんな見てきて?」

「いや、顔だけはいいよなって」

「んだと!?」

「はいはい、帰るぞ」

「はあ!?」


 机の横に掛けたままだったリュックを背負う。

 そして教室のドアを開けた。

 横目に見た誰もいない教室が、なんともいえない感情を沸き立たせる。

 そんな景色に、別れを告げる。


 太陽は段々とその姿をビル群に食われている。

 空は紫色に染まっていく。

 校舎の影が校庭を占める。

 校門を出て、慣れた道を歩き始める。


「おい(そう)、パフェ食い行こうぜ!」

「今から?寒いんだけど」

「えー」

「家にプリンあったろ」

「あれそうのじゃなかったっけ?」

「もう食べていいよ 俺シュークリームあるし」

「まじで!やった!!」


 瀬人らいとはいつも大げさだ。

 街道には影が伸び、電灯には星が灯る。

 空は夜を招いている。

 かじかんだ手を白い息で温める。

 そしてやっと、我らがアパートに着いた。


「たっだいま〜!」

「誰もいないぞー」


 瀬人らいとが鍵を開き、俺が暗い部屋に電気をつける。

 そう。俺らは孤児院来の友達であり、今はシェアハウスをしているのだ。


 俺の名前は『鎌黒(かむくろ) (そう)

 高校二年生の17歳 出身は鹿児島

 黒色の髪で毛先は青い色かかっている。髪は肩にギリギリかからないぐらいの長さだ。

 俺と瀬人(らいと)はどちらも小学2年生の頃に孤児院に入った。

 瀬人(らいと)が先に5月頃に入り、俺が7月頃に入れられた。そこで知り合い、友だちになったのだ。

 そんな古い仲だったから、シェアハウスをするように院長先生から助言されたときもすんなり受け入れられた。

 そして、中学校卒業後一緒に東京へ上京した。

 通っていた孤児院の院長先生がなにか手配をしてくれたようで、アパート自体はすんなり契約できた。

 今はバイトをしながら院長先生からの金銭的援助を受けながら生活している。

 そして、今の生活である。


 俺は台所に立ちながら昔の事を思い出していた。

 今日の晩御飯は俺の担当、麻婆豆腐を作っている。

 瀬人はソファに寝っ転がってテレビを見ている。


「できたぞー」


 白い楕円形のちゃぶ台に料理を並べる。

 香ばしい匂いにつれられ、瀬人がソファからズルリズルリと床に座る。

 瀬人が座った反対側に腰を下ろす。

 二人で、手を合わせる。

 

「「いただきます」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 6畳ほどの寝室に二つの布団を敷く。

 その上に薄い水色の枕と黄色い水玉模様の枕をぽすんと落とす。

 棚から掛け布団を引きずり出し、いい形になるように置いた。

 そこまで終わった後、後ろからドアの開く音が聞こえた。


「お、ありがと」

「おう もう寝るか?」

「いやーもうちょっと起きとく」

「夜ふかしすんなよ」

「しねえよw」

「昨日の就寝時間は?」

「4時」

「してんじゃねえか」


 後ろから笑い声が聞こえる。その人物は笑いながら背後から近寄ってきた。

 そのまま瀬人は膝から崩れ落ち、布団に体をあずける。


「……やっぱもう寝る」

「眠いか」

「眠い!!」

「うるせ」


 瀬人は黄色い水玉模様の枕に抱きつきいている。

 その目は既に細くなっており、眠気が伝わってくる。

 頭上のLEDライトから伸びる紐を二回引っ張る。

 カチッカチッと音を発し、白っぽい光から暖色系の光に変わる。

 俺はシャワーも済ませ、残るは瀬人と同じく寝るだけだ。

 そんなことを考えながら暗い部屋の中でスマホのブルーライトを浴びる。

 右手の親指でスマホの画面をスクロールする。

 画面に映るのは今朝見たニュースや人気芸人の不倫騒動…最近のネットニュースは不穏だ。

 機械的に時間を過ごし、かれこれ30分が経過していた。

 現在時刻10時37分。


「そろそろ寝る時間か」


 膝の上にかけたままだった掛け布団に手を伸ばす。そのまま足を伸ばし、姿勢を横に倒す。

 そして今日の事を振り返る。

 きっと、良い一日だった。


「…あ、食器洗ってない…」


 前言撤回、最悪だ。

 自分を包んでくれる温かい優しさをわっざわざ突き飛ばし、フラフラと台所に足を進ませる。

 冬の寒い夜の中、冷水にさらされかじかむ両手で皿を洗う。


「俺は母親じゃないんだけどな…」


 独り言は誰にも届かない。

 台所のすぐ横のバルコニーから、月明かりが家具を照らす。

 床には少し青い光とその影が映し出されていた。

 突然、怒鳴り声が響く。

 その声の主は隣の部屋の主人のようだ。

 男性の罵声の後に、決まって女性の謝罪の声がする。夫婦喧嘩だろう。


「……」


 ふと、昔のことを思い出した。

 思い出してしまった(・・・・・・・・・)


「…大丈夫、大丈夫」


 動機がする。呼吸のリズムが早くなる。

 思わず両手の動きを止めてしまう。

 大丈夫と、自分に言い聞かせた。

 それでも心臓の鼓動はとどまることを知らず、その音は大きくなるばかりだ。

 季節はずれの汗を掻く。

 全身から血が抜ける感覚がする。


「大丈夫、思い出すな 大丈夫…もう…!」


 声は震えていた。

 左手から掴んでいたはずの皿が滑り落ちる。

 肩を上下に震わせ、浅い呼吸を繰り返す。

 頭の中が真っ白になる。

 否、頭があの情景に支配される。

 あの景色が、あの炎が、あの十字架が、全身を蝕む。


「ハァ、ハァ…!」


 台所から逃げ出してしまう。

 台所を出たすぐ横の窓を急いで開けて、バルコニーに出る。

 そして、震える左手を自分の胸に突き刺す。

 胸から青い炎(・・・)が吹き出す。

 痛い、苦しい、胸が焼ける。

 憎悪が、怨念が、殺意が胸を焦がす。

 左手で胸の中にあるものを掴む。

 勢いよく、ドクロの絵が書かれた一つのマッチ箱を取り出した。

 その中からマッチを一つ取り出し、火を付ける。

 マッチの先端には青い炎が揺れていた。

 バルコニーのフェンスに右肘を置く。

 左手からマッチ箱がずり落ち、それが床に触れる前に青い炎に包まれ消滅する。

 両手でマッチを力なく掴む。

 それをただ呆然と、(すが)るように見つめていた。

 炎は消えることなく、刻一刻とマッチを侵食する。

 何分見ていただろう。

 青はやがてマッチの全てを包み込み、姿を消した。

 その光景を見ていると、まるで自分の過去も消えるような感覚になる。

 ただの現実逃避にしか過ぎない。過ぎないのだ。

 それでも、頼らずにはいられない。

 もう呼吸は、落ち着いていた。


(そう)?」


 背後から声が聞こえる。


「…またか?」


 その声は優しく、俺を包み込むようにも感じた。


「……起きてたのかよ」

「起きてちゃ悪いか?」


 そう言って、肩をぽんぽんと叩かれる。


「……ごめんな お前のほうが絶対苦しいのに、俺ばっかり」

「違う、苦しさに優劣なんか無いんだぜ (そう)。」

「ごめんな ごめんな…」


 声の震えは恐怖から、次第に泣き声へと変わっていた。


 その後は瀬人に食器の後片付けをやってもらい、俺は寝た。

 まだまだ自分の心は弱いと痛感させられてしまった。


 翌朝、瀬人が厨房の電気を消さずに寝ていたので、叩き起こして説教をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「速報です。東京都港区の路地裏で男女8人の遺体が確認されました。

 その遺体にはいずれも大きく穴が空いており、警察は計画殺人事件として調査を行っています。」

 どうもこんにちは作者の華街はなまちです!!

 SKULL MAN第一話、楽しんでもらいましたでしょうか。

 ……正直、全く物語進んでないですね。

 この小説は一応バトルもののはずなんですがね…

 では、次の話でお会いしましょう!華街でしたー!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ