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第8話 変身!

「じゃじゃーん!これです!」


 ルミィが得意げに取り出したのは赤い石のネックレスだ。


「これ付けるだけで良いのか?」


「はい!さっそくどうぞ!」


 首から下げると、赤い光が石から広がり始める。


「おお!?」


 ちょっと怖い!

 暫くすると光は収まってしまった。


「え?終わり?」


 訝しげな顔をする時夫にルミィはニッコリ笑って手鏡を渡してきた。

 

「さあ、見てください!」


「うえ!?」


 変な声出た!

 驚いて危うく鏡を取り落とす所だった。

 そこには、薄茶の髪と瞳の男性がいた。人種も変わっているその顔が、鏡の中で自分と同じ動きをしているのは、何とも不思議だ。

 年は時夫よりは年上に見えるが、人種違う系の顔は年齢が分かりづらい。

 時夫は鏡を見ながら眉を顰めたり、舌を出したり、左右に首を振ったりして、鏡の人物が自分だあることを確かめる。


「これは誰だ?」


「……?トキオですけど?」


 ばちん!


「いたあ!」


 もうルミィにデコピンするのが癖になりつつある。日常の光景。生活習慣のひとつ。人生の一部。歯を磨き忘れても、髪を梳かし忘れても、トイレに行き忘れることがあったとしても、レミィにデコピンするのを忘れる日は無いだろう。


 時夫は改めて質問し直す。


「だ、か、ら!この茶髪の男は誰かモデルがいるのかって聞いてるんだよ!これは誰なんだ?」


「うーん……知りません」


 時夫が無言で指を近づけると、ルミィは両手をホールドアップして後ずさった。


「本当に知らない人です!そこら辺の知らない人をコピーしてます!

 昔コピーしたまんまです。

 あ、それと、女の人にもなれます!知らないそこら辺の女の人!事前に登録しておいたやつ!」


 どうやら本当に知らないやつのようだ。

 ネックレスの赤い石の部分を摘みつつ、時夫は使い方を確認しておくことにする。


「女の方にはどうやってなるんだ?」


「え?トキオって女の人になりたいんですか?」


 レミィは口元を押さえつつ、びっくり仰天な顔をして見開いた青灰色の眼で時夫を見つめてくる。

 ムカつく顔だなぁ。


 ばちん!


「いたあ!」


 デコピン。思考と指の動きがほぼ同時だ。おそらく生活魔法を極める前に時夫はデコピンを免許皆伝するだろう。

 デコピン道場でも開くか。師範となり弟子を取ろう。


 「違う!そんな機能があるなら、一応聞いておこうと思っただけだ!」


「うう……いちいち暴力やめてください。」


 涙目でか弱ぶるので可哀想に思えるかも知れないが、コイツは少しもへこたれないし、反省もしないのは、もう時夫にも分かっている。

 甘やかしてはダメだ。世間の厳しさを教えてやらねばならない。


 表情豊かなレミィが、わかりやすく不満たらたらな顔で説明してくれる。


「今の所有者は時夫ですから、自分でイメージしやすいスペルを言ってください。

 以降はそれで大丈夫なはずですから」


「ふーん……『フォームチェンジ』!」


 何だか全身がふわっと不思議な暖かいような感覚。


 鏡を見る、前に手鏡を持つ手が小さくなってることに気がつく。


「うお!手が小さい!すげぇ!」


 声が高い!

 すぐに顔を確認する。

 見事な赤毛に殆ど赤っぽい茶色の瞳だ。

 これはなかなか美人なのでは?


「おお!すげぇ!これ、凄いな!」


「ここは殆ど人は来ないですけど、身分が高い人なら男の人でも一応来ることはできるので、念のためネックレスは常に身につけて、直ぐに変身できるようにしておいてくださいね」


「おう!分かった」


 ちょっと服がダボっとしているが、許容範囲内だ。

 元々が身長低めなのと、変身後の姿の女の人がそこそこ背があるので、そこまで不恰好では無いと思う。


「……その姿の時は言葉遣いも気をつけてくださいね」


 ルミィがはしゃぐ時夫に少し呆れながら忠告する。


「おう!…………わかったわよ!」


 機嫌良さげに応える時夫に、ルミィはこれ見よがしにため息をはいてみせる。


「はぁ……先行き不安です。

 とりあえず、外に出る時は男性の方の姿でお願いしますね。

 外出は……明日にしましょう」


 別に女の姿でも上手くやる自信あるのに、ルミィは心配性ですわよね!

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 召喚される女子高生の巻き添えをくう主人公という新しすぎる設定に、設定から笑ってしまいました。 読んでみれば、召喚された少女には誰もが目を向けるも主人公は見向きもしないのが気の毒に思っ…
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