表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/147

第5話 悲しきチート能力の世間的評価

 『クリーンアップ』


 時夫のチート生活魔法は、毎朝一時間掛けていた掃除を一瞬で終わらせてしまった。

 神の保証する世界最高峰の魔法で、建て替えホヤホヤの様な美しさ。


「うわー!トキタは本当に女神に選ばれし聖女様なんですね!……今後は聖女様とお呼びします!」


「男に聖女はやめろ!あと、トキタは氏でトキオが名前だから。

 絶対勘違いしてるだろ」

 

 ルミィがキラキラお目目で敬愛の眼差しで見つめてくる。

 うーん、生活魔法に対する偏見の思いがあるから喜べないのかな?

 でも、実用性で言えば他の追随を許さないんだよな。

 と言うか、生活魔法って何なんだ。


「なあ、生活魔法って何か定義あるのか?」


「実生活に役立つ魔法ですよ?お水出したり、火を出したり、汚れを取ったり」


「それは水魔法や炎の魔法とかと違うのか?」


「うーん……言われてみれば違うような……違わないような……考えたことも無かったですね。

 一般市民でも使える様な魔力が少ない人でも扱いやすいものが多いですよ。

 他にも重い荷物を軽くして持ち運んだり、あとは生ゴミを早く堆肥にしたり……そうそう、暗いところを少しの間明るくしたりも出来ます!」


 結構万能そうだ。

 ……何か戦う時に役立つかな、とも考えたが、そもそも戦う機会が無いからな。

 それに本当に戦いたいかな?無双はしたいけど、危険な目には遭いたくないな。

 あくまでほのぼのライフに勤しみつつも、ここぞと言う時にバーンと活躍したい。

 そして皆んなから尊敬されたいけど、人間関係とか面倒だから隠居生活したい。


 相反する望みの数々に心が千々に乱れる。

 

 ……よく考えたら、女神に元の世界に戻せって要求したのに、能力授けられてそこんところは有耶無耶にされてしまった。

 アイツ召喚やらに俺のこと巻き込んだポンコツかと思いきや、侮れない。


 しかし、せっかくのチート能力だ。元の世界に戻るのは少し魔法を楽しんでからでも良いだろう。

 それに、仕事も繁忙期なのに無断欠勤中だし、もうガッツリ休ませて貰って転職考えるかな。


 とにかく先ずは生活魔法について知らなくては。


「なあ、生活魔法について、もっと詳しく知りたいんだが、本とか無いのか?」


「無いです」


 即答された。


「何でだよ!」


「生活魔法の多くは、身分の低い使用人か、平民が使うものですので。

 そして、そう言う人達は識字率が低いのです。

 

 もちろん、貴族も使えますよ。何種類か。

 特に戦争とか行く様な男性は貴族の使える生活魔法の平均を押し上げてますが、やはり、そういう魔法を使うのは、その場にいる人の中でも身分とか立場が低い人が使うことが多いです。

 

 魔力も消費が少ないとは言え、やはり使うことには違いありませんから。

 強くて偉い人は、戦いに備えて魔力は温存して、戦力として微妙な人がそう言う時に役立つ形です。


 生活魔法は身分の低い人のやる雑用に分類されるので、あんまり率先してやってると見下される原因となるので、お気をつけください」


 あの女神……とんでもないハズレを掴ませやがったのか!?


 怒りにプルプル震える時夫に、レミィが気遣わしげに声をかける。


「えっと、私はトキョのこと凄いと思いますよ!」


  しかし、発音が残念無念だ。訂正せねば。

 

「トキョじゃ無くて、トキオ!」


「ト、キーヨ?」


「ト、キ、オ!」


「ト、キ……オ!」


「よし!」


 とりあえず生活魔法はルミィに聞きつつ、自分で研究していくしか無いだろう。

 ここの世界の文字も不思議と読めるし、何なら研究結果を紙にまとめたりしても良いかも知れない。


 この世界での今後の方針の一つとしよう。

 後は……聖女とかってどうやれば辞められるんだろうな。

 そういや齋藤伊織……さん?は聖女パワー無くて困って無いだろうか?

 まあ、魔法のチート能力は貰ってるそうだから、それなりの活躍をしてるだろうな。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ