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第56話 アイスクリーム屋さんの作戦会議

 早速手に入れた情報を店舗の方に持ち帰る。


「そんな……地下で強制労働……」


 狐獣人の二人は特にショックを受けた様だった。


「本当なら助けに行かないと!……でも、フィリー、私には優しかったのに……本当にそんな酷いことしてるの?」


 伊織は一時期親しくしていた学友の犯行に悲しそうな顔をする。


「フォクシーは何か知らないの?」


 コニーが最近まで狐獣人のコミュニティーにいた筈だし、自らも北狐の血が濃く出ているのだ。

 何か情報が無いだろうか。


「うーん……あ、そう言えば、お母さんから手紙来てるから読んでみます」


『空間収納』から簡素に封をされた手紙を出した。


「ちょっと!いつ届いたの?直ぐに中確認しなさい!」


 コニーがフォクシーを叱りつける。

 フォクシーは白い耳をぺたんとして、大きなフサフサの尻尾をむぎゅっと抱えて上目遣いで姉を見る。

 拗ねてるらしい。


「届いたのはおとといくらい。だって……後で読もうと思って忘れてたんだもん」


 フォクシーは尻尾を更にぎゅーっと抱きしめて、自分の顔を半分隠した。

 どうやらしっかり者の姉に、のんびりウッカリな妹らしいな。


「まあまあ、良いから中身読んでみてよ。

 個人的な内容だけなら俺らには教えなくても良いからな」


「はい!読んでみます!」


 フォクシーが読み始める。ふむふむと言いながら、目を丸くし、手紙に顔を近づける。

 手紙を顔から離して、口を開けてびっくり顔。


 ……いや、早く読み終えてくれ。なんだその百面相は。


「ちょっと貸して!」


 コニーが手紙を奪って目を通す。そして、


「そんな……」


 口に手を当てて眉を顰めた。


「何が書いてあったんだ?」


 時夫は好奇心が表面に出るのを抑えつつ聞いてみる。


「北狐族の集落に凄いお金持ちの貴族の人が来て、教育を受けさせてやるって言って子供を何人も連れて行ったって。

 フォクシーも学校通わせて貰えるかも知れないから、その人の家を訪ねてみろって……」


「で、その家っていうのが……」


「ゴールダマインですね」


 時夫の言葉をルミィが引き継いだ。

 

 「その通りです」


 コニーの赤茶色の瞳が怒りに燃えている。


「あの、待ってください!

 フィリーが、ちゃんと学校にも通わせている可能性はないでしょうか?」


 伊織が学友を庇う。

 

 お馬鹿王子の取り巻きとして、伊織を庇ってくれていた経緯があるから、証拠も無しに悪人呼ばわりは出来ないのだろう。

 それが伊織自身の為になる行為だったかは微妙だし、善意からの行動だったかは置いといて、素直でまっすぐな性格の伊織は、世話になった人を悪く思いたく無いんだろう。

 マジ良い子だ。

 

 とは言え、働かせているという所は否定しないらしい。

 まあ、氷系魔法無しにはアイスクリーム屋なんて難しいからな。

 そして、時夫としては、伊織も『トッキーのアイスクリームファクトリー』の一員として、情を排してキッチリかっちりライバルを潰す覚悟を決めて欲しい。


「証拠集めが必要だな。

 そして、売り上げアップの必要も……」


「その件なんですけど……」


 コニーが困った様に眉尻を下げる。


「実は……商人たちがうちの店の材料の仕入れを断ってきてるんです!乳製品が手に入りません!」


「何だって!?」


 時夫は相手の本気に驚く。

 そこまでしてこのアイスクリーム屋さんを潰そうとするとは!?


「じゃあ……新たな商品開発も必要だな……。

 でも、あんまり商品の方向性変えたく無いんだよなぁ。

 一体何が良いか……」


 うーん……と悩む時夫だっだが、


「はい!発言よろしいでしょうか!」


 伊織が元気よく手を上げた。


「はい、伊織ちゃんどうぞ!」


 時夫もノリに付き合って発言を許した。


「最近益々暑いじゃ無いですか?私、もう少しサッパリした物食べたいなぁって丁度思ってたんです。

 ……つまり、かき氷売るってどうですか?」


「採用!」


 かき氷始めました!をやります。


 

 

 

 

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