八日目以降の穏やかな数日の様子 その2 炭焼きと虫除け
十二日目。
夜明け、曇っていたので先行きの天気を危ぶんだが、いつも通り上流へ。
炭焼きで出てくるはずの木酢液を回収する為に、硬化観察中の灰砂利の壺を持参する。
感じからして、きっと使える。
今日は早朝から、愈々炭焼きだ。
先ずは準備。
簡単に言えば、木材を粘土で覆って、酸欠状態で焼いて、完全燃焼して二酸化炭素になってしまうのを防ぐことで、炭というブツになる。
なので、穴を塞いだらすぐに酸欠になるように、内部空間にできるだけ酸素の居場所、つまり空気の存在可能な隙間を、減らしておく。
ちなみに、もう一つの目的のブツたる木酢液は、燃焼熱でガスとして出て来る液が冷却されて液化して出来るものだから、ガスのヌケなんかあったら全部気化したままどこかへいってしまう。
その為に先ずは、昨日エコが選んでくれた場所に、木材をとにかく隙間なく積み上げておく。
それと、冷却されて地面の溝を流れ出て来る筈の木酢液を回収する為に、溝をもう一度確認し、地面に沁み込んでしまわないように粘土をもう一度塗り付けておく。
持参した回収用の灰砂利の壺を、回収用の窪みを手で掘って、溝から液が滴る位置に埋め込む。
その後で、溝と壺に小枝を並べて蓋をして、その上から粘土で密封する。
次に、木材に泥を分厚く塗り込み塗り付け、その外側からたっぷりの粘土で隙間なく確り固めておく。
特に地面との隙間が出来ないようにする。
それが出来たら、燃焼開始の為に、上と下に穴を開ける。
出来るだけ、上部が無駄に完全燃焼してしまう前に、底部の木材まで速やかに燃え広がるようにすべく、下の穴は八つも開けた。
上の一つの穴と合わせて九つの穴だ。
なんだか道士のなんとか炉っぽいな。
そこまで出来たら、もう一度予想外の場所に隙間が残って無いか、よく確認する。
では、愈々だ。
既に朝も遅くなったが、上から火を点け、火が底まで燃え広がったら穴を総て粘土で塞いで、蒸し焼きにする。
炉の傍は温かい。
「そっちはどう? もう薪から炎が噴いてる?」
「ん~……よさそうだね……」
実際に見に行き、皆にも他の穴を覗いて貰う。
そんな感じで、どうにか手順を進めた。
昼頃に晴れてきた。
充分に冷却して、できるだけ木酢液を回収したかったので、午後遅くまで待った。
予め午前中にトモコが持参した自作の籠の内側に粘土を張ってくれていたので、それでそこそこの量の水を汲んでは、炭焼き窯に何度も満遍なく掛けて冷却した。
そろそろ頃合と見て、窯を壊し、かなり焼け残りがあるのに一寸がっかりしながらも、炭もなかなかの量出来ているのに嬉しくなった。
「見ろよ、この量! 暫くは火の番が楽になるんじゃねえか?」
「かもね。でも、煙も出さないと、虫が来るからね」
「じゃ、俺の時はこれ、俺以外の時に薪で!」
「ずるいよぉ!」
バカ話をしながら、不要になった粘土を籠から剥がし、炭を回収してゆく。
木酢液が窯の底の方にべったり付着している。
粘土の蓋を除けて、埋めておいた壺を丁寧に取り出すと、中にはお目当ての木酢液が結構な量が溜まっていた。
重いので、それはぼくがしっかり抱えて帰ることにする。
そうして虫除け準備ができれば、次の晴天日には、河原の上流、滝壺の下流の場所で、久しぶりにしっかり身体を全身洗う事にした。
帰ってから、小鉢に予め水を溜めておいて、そこに枝葉を使って少しだけ木酢液を溶かし、それを枝葉をブラシの代わりに使って、シェルター各所に撒いた。
塒の虫除けだ。
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十三日目。
木酢液を溜めてある灰砂利の器を抱えて上流へ。
晴天だったので、水浴を実行。
それから、予定通り、洗濯と物干し、水浴だ。
頭の天辺から爪先まで、しっかり水浴をした。
粘土を張った穴に水を溜め、そこに木酢液を垂らして薄めて、頭髪を漬けて虫除け。
そんな感じで、一日かけて身体に集っていた虫をやっと駆除して、洗濯ものも木酢液に漬け込んでから乾して、取り込んで帰路について、その日は暮れた。
こうして、投石事件のあった後、数日間はシェルター周辺で穏やかに回復して過ごした。
拙作をお読み頂き、実に有難うございます。
此処に来て初めてブックマークを付けて頂き、嬉しかったです!
いつも通り、自分自身が読みたくて書き始めたものですから、他人からの評価は基本的には度外視とはいえ、やはり何か、励まされたような気がしました。
有難う御座いました。




