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初日 今晩と明日への備え 優先順位を話し合った結果

暫く話し合った結果、


0,まだ不慣れな土地で、人も開拓村より多いのに、ここに居る筈の悪い奴の事も知らないし、危険なので、兎に角今は全員揃って行動しよう。

カネは、一応一人に銅貨2枚ずつと考えても良い。トヨキとか先走って何か買いそうだし、無理に止めても角が立つから、そう割り当てを決めておけば喧嘩になるまい。

ただ、まだ使わないのであれば、今のところは、一番しっかりしてそうなトモコに持ってて貰う。

物売りからパンなどを買う際に、なにかしら物を訊ねる事ができるかもしれない。

うるさがられるだけ、という可能性もあるけど。色々な店で買えば、それだけ色々な人を知れて、中には質問できる人も見つかるかもしれない。


あと、食糧は今食べてしまおう、傷んだり虫に食われたり奪われたりする前に。さ、分配、分配♪

「おっと」

乾し肉は斧で削る必要があるな……ま……なんとか……できた。

「こっちちょっと少ないから、そっちのをナイフで削って、こっちに頂戴」

よし。

「じゃ、再確認するから、食べながら聴いて」


1,今晩の寝床を確保。


藁に潜り込んで寝てよいとは言われたが、虫をなるたけ防ぐ為に、簡易寝台を組むぞ。そんで寝台に虫除けを施すぞ。

幸いここまで来る間にもミントが生えていたし、村にはあちこちで生えてるようだから、ミント少し摘んで来て虫除け。

そのうち炭焼いて、その汁を集めて使おう(木酢液)。巧くやれば多く集められるけど、下手にやると全部煙になっちゃうから、上手そうな奴がやろう。


2,とにかく明日の食糧確保に向けた仕込みをしなくちゃ。


罠漁をしよう。トヨキがやり方を父親から教わってるから、やって貰うぞ。そんで、皆もやり方を覚えよう。

エイコは草木の事を少し知ってるから、道々よく探して見つけてほしい。食料に限らず有用な物、できるだけ。その都度、皆に教えてね。

他の子も、おやつ見つけ次第自分で食べて、可能なら持ち帰って、最低でも場所は覚えて皆に教えて。


3,履物の材料を採集して、その場で下拵えは済ませておく。


履物を新たに編むのは後回し。

履物以外も作りたいので、素材は兎に角集めておきたい。

ただ、食糧の仕事が最優先だから、そこはほどほどに。

それにまだ拠点も無いし、物だけ沢山あっても、そんなに置いておける場所がない。


これら1~3は今日中に必ずやっておかないといけない。

あとは今日で無くてもいい。もう昼過ぎだし、今からでは時間が足りない。

雨で足元も危ないし、土地に不慣れなのに、歩き回りすぎて怪我でもしたら馬鹿らしい。

もう少し慣れてからで良い。


4,村外縁の拠点候補地を見つけたい。とにかく見て回る必要がある。


拠点さえ手に入れば、色々な生産設備を設置して、様々な物を自作できるようになる。

家畜小屋で色々な物作りに励むくらいなら、さっさと拠点獲得すべく努力した方が良い。


5,村周辺の何処で何が採れるのかを知らないので、それも調べないといけない。


6,村の人に色々訊ねるとともに繋がりを作る。


雨だから、色々訊き回って調べるのには、今日はあまり向いていない。

精々、他の作業のついでにちょっと訊くくらいだろう。

もしかしたら誰かうまく捕まえて訊けて、手伝いつつ繋がりが持てたらいいけど、あまり期待すると失望感が大きくなるので、夢は持たないぞ、と。

まだあんまり質問したい事もまとまってないし。


4~6は、今後の日々の中で毎日1~3をこなしたうえで、余力あれば村の内外を歩き回りながら進めていく。


7,食器がほしい。


拠点ができれば食器など幾らでも作れるし、魚なら細枝に刺して炙り焼くだけでも良い。

ただ、今はまだお椀や鉢の一つもないから、煮炊きすれば食べられるような物があったとしても、分け合うにも苦労する。これは具合が悪い。

そうだな、明日、罠漁で魚を獲れるだろうから、その場で川岸に竈を組んで炙って、皆で食べるだろ?

そこで火熾しして、焚いて、灰をどんどん作っていこう、必要以上に沢山の柴を取って来て、どんどん灰を作る。

灰があれば簡単に、とりあえず使える器が作れるから。

乾燥には、日にちがちょっとかかるが。


当面は魚と草を食べて凌げばいいから、その間に拠点確保に注力しよう。


こんなところだ。


うわー、頭使い続けて緊張しながら喋ってたら疲れたー、喉乾いたー、腹減ったー……ゴロリと寝転がって、そのまま寝てしまいたいけど……地べたにごろ寝したくないので、まず寝台を造ろう。

そうはいっても、雨なので、誰も彼も動きが鈍い。

それでも、


「じゃあ、行こか」


と珍しくトヨキが率先してくれたので、尾いてゆく。


--


皆の恰好は、今朝までは逃げ出した時と同じ、局部を覆う腰帯と、尻が隠れるくらいの丈がある粗末な生成りの袖なし肌着一枚だけで、野蛮人そのものだったのが、今は粗末な黒っぽいズボン一枚履いたお蔭で、どうにか曲がりなりにも一応は文明人っぽく装えている。

腰帯と肌着は、サカヌキ村に辿り着いた時には酷く汚れていた筈だが、神殿の人が親切にも洗っておいてくれてあった。


肌着は至極簡単な作りで、粗い古布を二枚重ねて、開口部となる首と肩と腹の部分以外を、太い糸と針でしっかり縫い合わせただけ。

開拓村の子が着せられる肌着なんて、そんなものだ。

布なだけマシだ。

子供の成長に合わせて作り直す手間を減らす為にダボダボに大きめに作られるが、もう今は身体に馴染んで丁度良い感じになっていた。


もう少し成長したらぱっつんぱっつんになって、その頃には布地ももっと傷んで破れ易くなっていたことだろう。


しかし、既に俺たちの肌着はどれも、大なり小なり破けていた。

トヨキと俺のが特に酷かった。

トヨキのは左肩が裂けて背と腹にだらんと垂れ下がって片肌脱いだ状態になっていた。

俺のが一番酷く、破れ裂けていない箇所が無いくらいで、風を防ぐ役にも立たず、辛うじて「ああ、何か着て居ようとはしているんだな」と思われる程度の代物でしかなくなっていた。


拙作をお読みいただき、まことに有難うございます。

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