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変人教室の異世界破壊譚  作者: ハイフン
1/7

プロローグ:「落ちた日」

この世には変人が存在する。

何を隠そう、俺の所属する超嵐すげえあらし学園2-Bは変人ばかりが集まった集団である。

あるやつは、

「見てくれよこの人形。めっちゃエロくね?とくにここの造形美やばいと思うわ。あ、これ俺の腕だわ。」

ほぼ裸体の人形を白昼堂々持ってきてはクラスメイトに見せびらかし、

「見てよこれ。この前行った水族館の写真!」

「へー!魚見に行ったの?」

「いや?水族館自体の写真撮っただけだけど。私魚嫌いだし絶滅してほしい。」

水族館に行ったにもかかわらず魚が嫌いだから入らず、

「昨日の『あす夜』観た?」

「観た観た!!あの制作会社の女の子の描き方まじですごいんだよな~。」

「ああ。あのユッコちゃんがベッドでツナミちゃんのことを思ってもだえるシーンのTシャツが火照った汗で張り付いて膨らみかけのおっぱいが強調されるシーンまじですごかったよな!!」

「「キモ」」

なぜかアニメの良かったシーンを力説すると引かれてしまったりしている。

このクラスは…変人だらけなのである。


「は~い、みんな着席してくださ~い。」

教室に明るい幼女のような声が響き渡る。

「先生、このミカン箱をお使いください。昨日仕入れた新品です。もちろん未使用です。」

「ミカン箱に新品も何もあるのかは不思議ですが、ありがとうございます~。」

メガネをかけた長身の生徒がミカン箱を教壇の後ろに一つ置いた。

そのうえに幼女が立つ。

その幼女は何回か深呼吸した後、前を見据え、にっこり笑い言い放った。

「お前ら、今日もド変人ですね♪おはようございます。」

彼女こそがこのクラスのドン、担任の桃木先生、通称ももっちである。

「ももっち~。今日宿題あったっけ~?」

「知らねえよ♪」

「ももっち~。今腰ちょー痛いんだけど~。」

「腰はずせ♪」

「ももっち彼氏できた~?」

「お前ぶっとばすから後で屋上来い山田。」

今日もクラスは平和である。


屋上から戻って来て、自分の机で一息つく。

「なあ山田、まじで今日宿題無かったっけ?」

後ろの席の和田がしゃべりかけてきた。

和田とは席が近いこともあり仲が良い。

和田は見た目金髪リーゼントで怖いが、顔は普通だしお茶買ってきてくれるしいい奴だ。

「そもそも何の授業のだよ。英語と化学は宿題あった気がするけど。」

「まじかよ、しくったー!」

「いつもしくったーって言ってるけど、一回もやってきたことねえじゃんお前。どんだけしくったら気が済むんだよ。しくったーをずっと攻撃表示にでもしてんの?」

「違うんだよ。なんか家だと集中できないんだ。」

「それはくっそ分かる。俺もアニメとかついつい観ちゃうからなー。」

「だべ?だからいつも中庭で勉強してるんだけどさ、気づいちゃったんだよ。勉強し始めるの夜だから周り真っ暗で何も見えないってことに。」

「へー。それ気づいたの勉強しはじめてからどのくらい?」

「もう二か月くらいかな。」

「お前ネコの能力失ったんじゃね?だから夜目が効かなくなったんだろ。」

「あーそうかもしれん。ってんなわけないだろー!」

「「だっはっはっは!!」」

「「キモ」」

「「なんでだよ!?」」

今毒舌を吐いた二人組は椎名姉妹だ。

姉の椎名アップルは赤色のツインテールで、妹の椎名れもんは黄色のツインテールであり、見分けるのは簡単。

けっこう見た目はかわいいが毒舌しか吐かないというか「「キモ」」しか言わないので俺は苦手である。

「なあなあ、」ゴドンッ!!「それにしても一限始まるの遅くね?」

「確かにな。いつもだったらもうこの時間には…って時計めっちゃバグってるんだけど!!?」

「「キモッ!?」」

黒板の横にある時計の短針長針秒針がぐるんぐるんと回っていた。

「ななな何!?いったい誰のいたずらだ!?」

「おい須藤!!お前がいじったんだろ!!」

和田が窓際の席の須藤に叫んだ。

「ち、違うって!いくら発明好きのボクだからってそんな皆に迷惑かけるようなことしないよ!!」

「いや迷惑かけない発明のほうがめずらしいだろうが!!お前俺の机ステンドグラスにしたのまだ許してねえからな!!あれのせいで毎朝お祈りしてしょうがなかったんだからな!!」

「ああ、毎朝学校着いたら膝ついてたのあれお祈りしてたのか。」

「そうだよ!悪いか!!」

「悪くはないけど意味が分からん。」

こいつの思考回路どうなってんの?脳みそリーゼントに吸われたんだろうか。

「ね、ねえ外見て!!」

「え?…なんじゃこりゃあ!?」

クラス全員が外を見る。

その光景に皆絶句した。


この教室が、空を急降下していたのだ。


「え、これ死ぬくね?」

「うそだろおい!!和田のお祈り効いてねえじゃん!!」

「誰がこんな状況を想定してお祈りするんだよ!!」

「じゃあなににお祈りしてたんだよ?」

「そりゃあキリスト様にだよ。今日もおいしいパンが食べれますようにってな。」

「すっごい。」

脳の処理が追い付かな過ぎて小学生の受け答えしかできなかった。

「よく見たら天上もねえぞ!?」

「み、み、みなさん落ち着いてください!!深呼吸してー!!すーはー!すーはー!…空気が薄い…。」

「ももっち先生を守るんだ皆!!」

「え、どうして委員長?」

「こういう時、最年少の子を守るのが普通だ!」

「おい待て。それは私がロリだって言いてえのか?」

「喧嘩してる場合じゃないですよ先生!!現在進行形で落ちてるんです!!このままだと俺たち…」

バキッ!!

「バキッ…?」

「おい、まじか…。」


床が、完全に、バッキバキに、割れていた。


「「「う、うわああああああああああああああ!!」」」

「「「きゃああああああああああああああああ!!」」」

「「キモーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!」」


そして、俺たちは、空から落っこちた。


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