006 イレギュラー・ワールドⅥ
二本の刀を手にしており、右手には白い刀、左手には黒い刀を持っていた。
――どういう事? 白と黒って……。
――まるで、悪魔と神が融合した存在そのものじゃない‼
――でも、ただの人間がどうして……。
少女は、後ろを振り向いて唖然としていた。
――やはり、あの御守りはただの御守りではなかったという事なの?
――どうして、今頃になってそんなことが?
「さて、白桜、黒桜……」
海斗は、ゆっくりと呼吸を整え——
「行くぞ……」
悪魔と神々の世界以外で生きる人種『人間』。
その者達が決して手にしてはならない力。
その力を手にしたとき、世界は大いに変わるであろう。
その昔、ある者が言った。
――聖杯を手にするモノ、それは世界を制するモノ、時が満ちた時、それは少しずつ崩壊へと動き出す余波である——
海斗は、少女と前方と後方の攻守を切り替え、旧悪魔に真正面から突っ込む。
右手の白桜で攻撃を受け止め、左手の黒桜で右腕を斬り落とす。
「二刀流、一の型『乱の舞』」
海斗はそう唱えると、旧悪魔を八つ裂きにし、消滅させた。
何も持たざる者、人間。
三つの世界では、弱気存在。
しかし、今、ここに新たなる人間が誕生する。