別れは唐突に
さて、私は何故、今、暗い路地を1人で歩いているのだろう。
正直言ってあの人の考えている事は全くわからない。
理解する気もないのだけれど…
でもあの人は間違いなく政府にとってはいい人になり、あの少年にとっては悪い人になろうとしている。
「困ったな〜……」
こういう時はどうすればいいのだろうか。
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俺はどうするべきだろうか。
考えても考えても手段は一つしか思いつかなかった。
327人……
あの少年の両親が殺人をした人数だ。
いや、詐欺などもある。だから、犯罪を犯した数……か。
俺は流伊奈に頼み事をした。
________俺が、彼奴らを捕まえて殺す。だから、この件が終わればもう関わることをやめる。最後だ。……夜、路地裏を歩け。俺も気づかれないように後ろをついて行く。
________ちょ、え、どうして⁉︎
囮になる分にはいいですよ?君があの少年の両親にそこまでする理由が解らない‼︎
________俺の友人が、昔、被害に遭った。俺の目の前で…だ。
そして、昔起きた事が今、また、起ころうとしている。もう二度と起こさない為には捕まえるしかない。
________でも、君は‼︎_______
________殺すんでしょう______
………
________どのみち、殺される。なら、俺が"それ"をする迄だ。
________君の……友人の為に?馬鹿じゃないの?そんな事しても、、悲しみしか生まれない‼︎あの少年の気持ちが君には……‼︎
________何も言うな________
________悪いな______
________………わかりました____
俺は、数分前の出来事を思い出していた。
「……悪いな__俺は、良い人にはなれないんだよ」
複雑な気持ちだった…
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タッタッタッ……
私の歩く音だけが響く。
いつのまにか額に汗が滲んでいる。
息が苦しい……
暗い…
…
怖い…
早く来い
そして、早く捕まえて‼︎
タン……タッ…
私以外の足音がする。
…直感だった。
来た‼︎
私は直ぐに後ろを振り向いた。
そこには、誰もいない、、
右、左、上、下、前、後
誰も………いない……はず………
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静かな夜だった。
俺は、彼女の後ろを付いて歩いていた。俺は、足音を立てないように歩いていた。
そこに彼女以外の足音が響いた。
あぁ…来たか
やっと……
そう思っていた。
_________ドサッ
何が起こった……?
俺は今倒れている。俺の血が流れているのが見える。犯人は彼女じゃなく俺を狙ったのか…
作戦………
「失敗だ…」
「やられた」
自然と口角が緩んだ。
焦った顔で走って来る流伊奈が見える。
_________相変わらずの迫真の演技だ。
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男は、路地裏で男を刺した。
凶器は不明。
女は、ただ、見ていた。
その表情は笑っていた。
血を流して倒れている青年は男の顔を見て_________笑った。
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「すみません。………ゲームオーバーです」
私は、青年を刺した男とその後ろにいる女にそう言った。
男はまだ、余裕の笑みを浮かべている。
女は…………口から血を流した。
「…っ…………どう……して…わた…っ」
_________バタンッ
私の目の前にいる男は驚いていた。
「何故……お前が……何のために育てたと思っている⁉︎」
男は声を荒げ、女の倒れた方を見て、、絶句している。
「ぼ、僕の意思だから‼︎……だから‼︎……」
幼い声だった。
私は……声も出なかった。
すると、地面に倒れている青年が立ち上がり。
「悪いな……。作戦成功だ。_________
21時17分それがお前らの死の時間だ。」
_________グサッ
静かな路地裏に何かを刺す音が響いた。
あぁ、また、私を騙したんだ。この人は…
_________バタッ
男は倒れ、、しばらくすると、息を引き取った。
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「……どうして⁉︎、、こんな子供に‼︎_________っっ…君は……何をしたか‼︎」
流伊奈が叫んだ。
「知っている」
だが、これは
「僕、、知ってたよ…。お母さんとお父さんが夜帰ってこないのも、話しかけても、何も答えてくれなかったのも……。夜、こっそり付いて行って何をしていたかも。」
流伊奈は目を見開き、涙を流しながら叫んだ。
「少年‼︎………君は…もう、普通じゃなくなるんだよ⁉︎」
行人は、俯いていた顔を上げた。血はもう止まっているみたいだ。
「…よせ。少年が泣きながら俺に頼んで来た。俺等には止める権利もない。」
_________パンッ
「ゆきと‼︎……待ってお姉ちゃん‼︎僕が、、どうしてもって頼んだの‼︎」
流伊奈は止まらことを知らない涙を拭い。
「でも、許可を出したのは‼︎行人だ‼︎」
行人は殴られた頬をさすりながら、流伊奈に言った。
「はじめから、、これ以外の方法は無かった。お前を囮にしたところで、気づいた時にはお前は死んでいた。それに、昨日少年が俺に言ったからな」
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ゆきと‼︎、、、僕、見ちゃった。
お父さん達が….…‼︎
そうか………それで?何を頼みに来た?お前は俺が探偵であることを知っている。
ぼ、僕にやらせて….…….…ください‼︎
…泣くぞ、お前。
じゃあ、ゆきとが…他人を殺すのは悪い事じゃないの?
それはお前も変わらん。もし如何してもと言うのなら、彼女がうるさくなるだけだ。
それに、お前は普通の生活を送る事が出来なくなる。
僕、捕まっちゃうんでしょ?
いいよ。
……だってこれは________。
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行人が言った言葉に私は驚きを隠せなかった。
涙も止まらず。ただ、、もう何も少年に言うことができなかったのだ。
そして、行人の優しさでもあった。
「少年も俺も……人を刺した。例えそれが犯罪者だと言えど、俺等も捕まる。
少年は俺に、"僕の家族の問題だから"と言った。だからと言ってた1人で行かせるわけにもいかない。
だから俺は、お前に囮になれと嘘をついた。_________悪かった_________それと、もう二度と、俺に関わるな」
少年は何も言わず、ただ俯いていた。叫び声が聞こえる。この現場を見られたのだろう。
しばらくするとサイレンの音。
私は
ただ
呆然と
知人が捕まるのを見ていた
そして、私も事情聴取へと、連れて行かれた。
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馬鹿みたい
簡単に
人なんて
信じちゃいけないんだ……
さよなら_________
私の
_________大好きだったひと