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冒険という名のパラダイス!!  作者: めーる
番外編 其の一 仲間を助けるために……!!
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其の一 第8話

「な、なんか……音が物凄く近くないですか!?」


 アネータは、両手で耳を抑えながら……咆哮に言葉を掻き消されまいと、声を張って言った。


 刹那……アネータの声を微かに聴き取ったネルスが、口を大きく動かして反応する。


「そりゃ、此処は……ドラゴンが封印されていた場所。分かりやすく言えば、ドラゴンの巣だからなっ!」


 そんな発言を聴いたアネータは、スグに『うぇ!?』と、不安な表情を浮かべて後退りした。


 同時に、咆哮は鳴り止んだ。


 と、


「ねぇ!? なんか……綺麗な翼が生えてる巨大なトカゲが、少し遠くの方に、確認できるんですけれど……!?」


 セリカが、空間の奥の方を指差して呟いた。


 その言葉に、彼方此方で驚嘆のため息が漏れる。


「そ、それって……ドラゴンな気がするんですが!?」


 アネータが、更に後退りしながら言った。


「生態調査を……しなければ!?」


 ネルスは好奇心を丸出しにして、身体を前のめりに言った。


 そんな二人を隣に、セリカは再び口を開く。


「ねぇ……あのトカゲ? 目をつぶって、寝ていない??」


「「「「え……?」」」」


 セリカを除いて、皆の口から力が抜けた声が漏れだした。


 すると、


『――ヴォォオオオォォオオッ!!』


 再び、強烈な咆哮が空間に響き渡る。


 瞬間に……セリカは、ドラゴンをジッと見つめながら、興奮して口を動かす。


「ねぇ、この咆哮……! あの、大きなトカゲのイビキだわ!?」


 刹那……ネルスが満面の笑みを浮かべながら、ツラツラと言葉を発する。


「よし、チャンスだ!! 寝ているうちに、今回の目的である……ドラゴンの生態調査を終わらせてしまおう!!」


 追ってアネータが口を動かす。


「えっ、今回の目的……ドラゴンの生態調査だったんですか!? そ、そんな事、聞いてませんよ!?!?」


「ドラゴンの生態調査をするなんて言ったら、途中で依頼を投げ出されると思ったからな……」


 そんな二人の会話の最中……セリカが、腰に下げる黄金の剣を引き抜いて言う。


「ねぇ、チャンスよ!? ドラゴンが眠っている間にササっと、イルミネート・ストーンを掘り出すなり、斬るなりして、持ち帰る努力をしましょう!!」


 ネルスとセリカは、自己欲の塊な言葉を吐き出すなり、早速に行動を開始した。


 まず、セリカが……引き抜いた剣をガンガンと乱暴振り回し、イルミネート・ストーンに叩き付けはじめる。


 きっと、イルミネート・ストーンを斬り倒そうとしているのだろう。刃の部分は、全くもって当たっていないが……。


 そんなセリカを横目に、ネルスがドラゴンの元へと走り向かう。


 と、


「ぶふぇ!?!?」


 ネルスは、ドラゴンに手が触れるまでの距離に到着するなり……地に散乱するライトストーンに躓いてしまった。


 興奮のしすぎで、周りが見えていなかったのだろう。


 そんな転倒したネルスの手先は……ドラゴンの瞑っている左眼へ、グサッとぶっ刺さる。


 刹那、


『――ヴォォオオオォォオオッ!?!?!?」


 ドラゴンが、物凄い雄叫びを上げて……目を覚ました。

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